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茅野駅前ベルビア 時計台オルゴール [四方山話]

ライブ「回=回」豊洲PIT追加公演の前日である、2019年1月13日。
私は長野県の茅野駅にいました。


「長野県茅野市 時計台オルゴール」
この一行が公に発表されたのは今からおよそ27年前。
ロッキンオンJAPAN1992年発行号のインタビュー記事
「平沢進全仕事」文中リストです。

私は当該号を未だ所有しておらず、
後の再録書籍でこの存在を知った口ですが、
1999年初版の音廃本にも、この情報は記載されてますね。
改訂復刻DIGITAL版 音楽産業廃棄物(ダウンロード版 販売ページ)

ファンの間では、長いこと「平沢進の謎仕事」として
語り継がれたものの一つです。

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さて、総面積約266.6km²という、
大阪市(約223km²)よりも広大な土地を持つ茅野市。
「平沢ミュージック時計台は、茅野のどこに建ってるのか?」
これはマニアの間で、結構な昔から俎上に載せられた話題でした。

なにせ情報が少なく、公園なのか、公共施設なのか、
そもそも時計台ということは、毎時一度鳴るのか正午だけなのか、
聞いたところで、それが平沢曲と判別できるシロモノなのか。
すでに壊れてそう。もう撤去されてたら徒労に終わるよな。

どこからアプローチすれば良いのやら、まっっっったく見当がつかず、
話題に花咲くも、結局は尻すぼみで終わるのがいつもの常でした。
せめてもう少しだけでいいから手がかりが欲しい。


そんなこんなで月日は10年単位で流れ去り。
去年の秋頃でしたか。
その時計台は茅野駅前商業施設「ベルビア」のものではないか、
…という手がかりが、Youtubeの動画リンクとともに、
私のTwitterタイムラインまで流れてきました。

一聴して、「あれじゃん!」と出だしの2拍で断定できる、
間違えようもない平沢ミュージックに大笑い。
あーまだ残ってたんだ。へーびっくり。
いつ行こう!


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茅野駅はJR東日本の中央線。
蓼科高原、白樺湖、八ヶ岳への玄関口でもあり、
東京方面からは、スーパーあずさを始めとする
各種特急もすべて停車する、アクセスの良い駅です。
しかし私は名古屋方面。

特急しなので塩尻まで行き、そこから普通列車に乗り換え。
30分ほど揺られて茅野駅まで移動。
NEW DAYSやacureの自販機で東に来たのを実感しました。
西口からベルビアは連絡通路で直結してるので、
あっという間に到着。



ガラスドアをくぐるとすぐに目に入る時計台。
一階から三階までを貫く中央吹き抜けの真ん中に位置する
セイコー製の金時計は、四柱の間に白樺の木が模されていて、
枝葉には小鳥たちもいくつか配置。



往時は時計のオルゴールに合わせて、
鳥も動いていたという話が残ってますが、
現在はそちらの機構は停止されてました。

追記20190121:
鳥が動いていた頃の動画。


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ベルビアの営業時間は10時から19時。
ダイヤの都合で10時半頃に着き、11時に鳴るだろう定刻演奏を聞き、
12時前には茅野を離れないと、この後のスケジュールが
すべてパーになってしまうプレッシャー。
「ほんとに今でも鳴るのかな?」などと疑心暗鬼になりつつ
写真を撮ったり、中の店舗をぶらぶら散策してると、
時刻はまもなく11時。

11時の訪れとともに鳥のさえずりサンプリングが時計台広場に響き、
平沢さんの手によるオルゴールミュージックが流れ出しました。
…オルゴールやチャイムみたいな小品じゃないよ。
トータル3分の長尺曲だよ!



お聞きのとおり、1989年発表「CG年賀状」の真ん中パート
「新春平沢オゾノ対談」に使われたBGM……と思いきや、
笛の音をイメージしたハイトーンシンセのメインメロディが、
CG年賀状のそれと差し替えられてる!
明らかに違う旋律が奏でられ、こっちの方が作り込まれてる!

さてはいくつか作曲したうちの、採用版がベルビア時計台のもので
没テイクをCG年賀状に流用したんですか恐らく?
(ということは、CG年賀状1stパートの中華風ミュージックも
 元々はどこかのCMお仕事曲だった可能性が高そう)

事の真偽はさておいて、
ベルビアが1987~88年頃オープンとのことですから、
時系列的にも、まずベルビア時計台ありきで作られてから、
後に特定少数ファン流通向けのCG年賀状に流用されたのは
確かなようです。

追記20190118:
Wikipedia岡島百貨店の項目によれば、
「1987年(昭和62年)10月8日に(中略)  建設された再開発ビルベルビア」
との情報。旬IVの頃じゃないですか。

P-MODEL本体はMONSTERレコーディング騒動の渦中、
まさかその時期のスタジオレコーディング音源なソロ曲が、
あんなクリアな状態で残されてるなんて!!

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良い時代になったもので、我々が情報を探しても
手がかりのシッポすら掴めなかった頃に比べ、
フルサイズの演奏シーンが今ではYoutubeに上げられてます。
しかし敢えて、茅野で聞く充実感があると、感じました。

旅して辿り着いた優越感とか、そんなんじゃなくて、
茅野の人たちの生活に溶け込んでる様子がたまんない。

駅ビルの中央なんていう何気ない日常の空間で、
毎時零分の訪れを告げる平沢ミュージック。
それが30年以上もの間、ここで鳴り響いてるわけで、
普段からなんとなく耳にしてる人たちにとって
当たり前の光景として溶け込んでるのが、
平沢進の一ファンとしては羨ましくもあり。


なにが印象深いって、人々の生活の一端になってるんですよ。
実例を挙げると、これが流れてるときに
広場を通りかかった子どもたちが、リズムに合わせて
軽く両手を横に振りステップしながら過ぎ去ってって。
この光景を見たとき、心が少し沸き立ちました。
これはたまたまですけどね。

他にも演奏中に周りを見渡せば、
行き交う人々もどことなく和やかな雰囲気だし。
待ち合わせ場所や休憩場所として、金時計自体が愛されてるし。


金時計の空間デザインや、それに巻き付いた正月飾りも相まって、
駅ビルの中を通り過ぎる人や、そこで働く人たちの生活を彩る、
パブリックアートとして馴染んだ環境が成り立ってるのを実感し、
ちょっと感激しました。

この感覚はたぶん、ベルビアの中に居て聞けたからこそ
味わえたものであると、なんとなく思います。
今にして思えば、志摩スペイン村ロストレジェンドも
それに類するものだったなあ、と感慨にふけったり。


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ベルビアのお土産代わりに、オルゴール演奏風景を自前で録画し、
Youtubeに上がってるものよりも、ちょっと上質の画質音質映像が、
私の手元にあります。これは平沢コレクターとしての宝物。

ベルビア時計台を横に置いても、
茅野の街は縄文土偶に強い博物館が隣接してますし、
諏訪地方はそば処にして酒処。
諏訪湖も温泉もありますし、観光にもうってつけで楽しいな。
ここを拠点に一日遊んでも良かったな、と
帰ってきてからも思い出します。
長野の駅は立ち食いそばがどこも美味しそうでした。

折を見てまた諏訪観光に行きたいです。
その際には茅野の一部として息づく
平沢さんのあの曲を、また聞ければ良いなあ。


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