2023.12.09 P-H(EAR) discipline #4 レポート [四方山話]
LP / CD / Hi-Res 聴き比べ&深掘りトーク
キミは違いがわかるか?
出演:中野泰博
アキモトトシユキ
高橋かしこ
國崎晋
https://rittorbase.jp/event/978/
https://p-hear-04.peatix.com/
古くはコンセプトカフェGazioでのトークショーにルーツを持つ、80年代P-MODELの活動を生で浴びた語り部たちによるイヴェント。御茶ノ水RITTOR BASE(以下リットーベース)へ居を移してからは、
shop MECANO:中野店長
コロムビア時代担当ディレクター/元浦和ロックンロールセンタースタッフ:アキモトさん
書籍『音楽産業廃棄物』編集・執筆者/ミニコミ『音のみぞ』主宰:かしこさん
リットーベースディレクター/サンレコ元編集長:國崎さん
……の、それぞれの役割で平沢進との仕事を果たした登壇者が集合。ミニコミ『音のみぞ』読者限定オンライントーク配信を経て、リットーベースの音響環境を活かしたP-MODEL・平沢進の音源ソース聴き比べトークイヴェントへと発展しました。
回を追うごとに話題を呼んで盛況となり、4回目である今回は発売5分で完売のプラチナチケットと化したこのイヴェント。パースペクティヴだけは聴き逃がせぬ、と潜入しました。いざ。
(※メモ取り一切せずに記憶と後調べデータで記したので、記憶あやふやからのミスあります)
俎上に載せられたパースペクティヴの音源ソースは以下の通り。だったかな……。
LP ジャパンレコード 1982年(オリジナル)
LP VIVIDサウンド 1987年
CD 徳間ジャパンWAX 1989年
CD 徳間ジャパンWAX/徳間リマスタ 2015年
CD SSレコーディング/SSリマスタ 2021年
Hi-Res 徳間ジャパン/徳間リマスタ 現行
これらに加え、カセット限定発売リミックスPerspective2の各音源が
CT ジャパンレコード 1982年オリジナル(第二部『B面篇』ではVIVID再発1987年版を使用)
CD 徳間ジャパンWAX 1991年
CD SSレコーディング/SSリマスタ 2021年
主な構成は、Perspective収録全9曲を一曲ずつ、1982オリジナルLP/1989徳間CD/2015徳間CD/2021SSレコーディングCDからワンコーラス流し、締めにハイレゾ音源をフルコーラスかけて聴き比べ。一曲試聴ごとにパネリストの深掘りトーク。要所要所の語りどころでは別音源も取り上げてプレーヤーにかける趣向。
具体的に各音源がどのように違うのか、これを文字に起こすのは恐ろしく険しいですが、大まかな比較としては
80年代LP:高域低域のバランスが整い、楽器ボーカル各音の艶も良く、状態良い盤では遜色ない見事な音が入ってる
1989CD(パースペ2/1991CD):全体的に音量レベルが小さく高低域差も少ない、真ん中に集まった音
SSレコーディングCD:1st~3rdでは海苔波形と言われがちのマスタリングが続くも、本作に関しては低音の迫力が引き出されており好感触
ハイレゾ:穿った聴き方をしても明らかに別格。全体のサウンドバランス、各楽器の分離、ボーカルの質、音の空間表現、どれもこれも満足できて鱗が落ちる
いやーヤバいところでした。
リスナーになってから聴いてたのが、初期は1989年CD、後期になってから亞種音BOX音源なのを白状しときます(LPもコレクションしてますが再生プレーヤーがチープ価格帯のもので、それも既に処分)
なのでパースペクティヴは「キックの低音が出てこず真ん中に揃った音作りだなー」と、ずーっと思ってました。
顔面蒼白です。
ハイレゾ買います。参加特典でOTOTOYクーポンをもらったのは僥倖です。
あとはSSレコーディングCDは現行流通してるし、パースペクティヴ2の11曲も同時収録だから、今から買うならマストバイだとも感じました。良い時代ですね!
一つの曲をとっかえひっかえ聴いてから登壇者トークを楽しむだけで参加した甲斐があるのに、音源比較することでパーツの分離感・音域の幅などの勘所を、まさしく実感できました。良い音は良いし、聴き比べてこそ善し悪しの理解が深まりますね……ただひたすら勉強になります。
深掘りトークでは、本作独特のドラム残響音の収録手法からはじまり、
・80年代ニューウェイヴを席巻した音色の一つであるゲートエコーへの反抗
・それまでのギターリフ中心な作風から変貌した、ベースリフから構築展開したと思しき構成
・ベースリフとシンプルなパーツ構成ドラムの上に乗るKORG Polysixのシンセサウンドの特徴
・シンプルな構成だからこそ必要となるボーカルの声質、後年のソロで開花する作風の萌芽
・1982年重要ライブ「突拍子のためのLesson 1」「同 2」はどんな内容だったか
などなど、パッと思い出すことを挙げただけでも溢れかえり、どこを切っても話題が尽きない掛け合いトーク。次から次に押し寄せる知見を呑み込んで咀嚼するのは、学ぶことの楽しさそのものでした。良いよね良いよね。
個人的なガッテンポイント
・うわばみで打ち鳴らされるパーカッションの正体(シンセなんですね)
・カセットパースペ2のSOLID AIR イントロリズムボックス
・ミキサースイッチングで作るHEAVENイントロ
・本作ディレクターで現SSレコーディング芝省三氏の日本ニューウェイヴ史における立ち位置(メトロトロンだとは!)
・パースペクティヴの二色刷ポスターの話で、相似デザインの有頂天チラシに話題が及んだとき、かしこさんが客席最前列のたつろーさん(有頂天ケラ研究第一人者)にチラリと目配せした瞬間
第一部A面篇/第二部B面篇の合わせて4時間、長丁場でしたが飽きる瞬間が無い濃密なイヴェントでした。行って良かった!リットーベースの音響空間すごかった!ハイレゾ買います。
80年代の傑作アルバム一枚だけでもこんなにいつまでも語れる要素が満載のバンドなのに、テクノポップと真っ向から勝負し、AMIGAとインターネットに活動意義の重きが置かれた90年代P-MODELの振り返りが少ないのは、現状ちょっともったいない。その時代を語れる人間が集って語るのにも意義があるかも、とも胸に手を当てた一日でした。
12.11 追記
終演後に登壇者の方々とお話しする機会に恵まれました。
イヴェント中の内容では無いので詳しくは控えますが、本イヴェントで扱われなかったP-MODEL BOX 太陽系亞種音リマスタリングについても伺えて、自分の中で得心が行きました。
Perspective +11 tracks (UHQ-CD EDITION)
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マーガレットと蓮華 [四方山話]
福間創さんがP-MODELに在籍した1994年~2000年は
一回りも二回りも昔の話になってしまいました。
幸いなことに、その当時の出来事は
音盤や書籍、映像やWebアーカイヴとして
数多く残されており、今でも鮮明に辿れます。
P-MODELを脱退してからの福間さんは
soyuz projectを結成して、後にソロ活動へと変遷します。
また、YAPOOSやシンセサイザーズへ加入した時期もあったりと
職業ミュージシャンとして精力的に活動されました。
(これは他の何人かにも共通するかもしれませんが)
福間創というアーティストにとってP-MODELは
プロとしてのはじめの一歩であり、重要な通過点だったと、
改めて思いを強くします。
福間さんの思い出を振り返ろうとすると
いまなお記憶に焼き付く鮮明なものから、
おぼろげにしか思い出せない儚げなものまで
浮かんでは消えていきます。
P-MODELでのステージングはもちろん、
末期パソコン通信~初期インターネットのサイバースペースな
テキストコミュニティで遊んでもらったこと、
未紗さんやテルヲさんのライブに客演したときの演奏の記憶や、
ソユーズ以降は気になりつつ、音盤も買ったり買わなかったりで、
萬福寺や鉄鋼館、陶板名画の庭や龍岸寺みたいに
特別なライブにも行けなかったな。
地元のライブハウスに来たときは何度か見れたっけ。
数年前のライブでやってた最初と最後の曲が
レーザー照明と相まって心地よかった。また見たいや。
後ろの方の私の記憶には、心残りが募って仕方ありません。
でも、目を閉じれば普段はシャイな兄ちゃんなのに
ステージの上ではひたすらカッコいい姿の福間さんが浮かぶんです。
実はこの文章の前に、思い出を時系列で形にできればと、
筋書き立てて書き綴ってたんですが、
野暮なものにしかなりませんでした。
記憶の形を整えるのは難しいです。
アーティストとしてのパブリックイメージよりも
ネットで遊んでくれた兄ちゃんとしてのほうが
やっぱり馴染むので、そちらに向けて掌を合わせます。
あのころお相手してくれて感謝が絶えません。お世話になりました。
更新 2020.08.14 [博物苑更新]
DISCOGRAPHY - 2020- を新設
DISCOGRAPHY - 2015-2019
Interactive Live Show WORLD CELL 2015
okagesama2019
DISCOGRAPHY - 2020-
会然TREK 2K20▼02 メモリアル・パッケージカード
Gift2020(二重展望2020)
ギターアルバム、方向転換の表明と不適合曲の廃棄
this is our music
以上を追加
お久しぶりです。お元気ですか。
苑の更新に、ようやく手をつけられたところです。
個人的な近況は日々のTwitterに記してるとおりですが、
PC周りのトピックとして、今年の新年を迎えた頃に
Windowsをアップグレードして以来、ハードウェアが使えぬままだったり、
サイト更新のために必要なソフトをかき集めるのが億劫だったり、
つまり、放ったらかしてました。
心の中の積みタスクが崩れそうになったので一念発起してみました。
皆様のお手元では更新内容は反映されましたでしょうか。
手始めにディスコグラフィに着手しました。
あまり間をおかずにユリイカのインタビューやGN会報の更新にも
手を付けたいとは、常駐タスクとして心に置いてます。
もうしばらくお待ち下さい。
ユリイカインタビュー、個人的に身に沁みました。
「夢の化石 今 敏 全短篇」収録のインタビューと併せて読むと
平沢さんのこころの移り変わりが、ほんの少しだけ透け見える気もします。
死の悲しみは時が癒やして、痕に思い出が残る、というのを
何となく実感する今日このごろ。
いつの間にか、今年も暑い夏がやってきました。
ユリイカ 2020年8月号 特集=今敏の世界 -『PERFECT BLUE』『千年女優』『東京ゴッドファーザーズ』『パプリカ』……その先の10年-
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の・ようなもの [四方山話]
記憶がポロポロとこぼれ落ちてきたので、
忘れ切る前に書き留めとこうかと。
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大阪公演との相違点といえば、
なんと言ってもサポートドラマー、ユージ・レルレ・カワグチ氏の参加。
あんなにオカズだらけなSPEED TUBEは想像すらしたこと有りません。
曲によってはシーケンスをも殴り倒す勢いで走るドラミングは
ド迫力というか痛快というか。
2年半前の第9曼荼羅東京公演で上領氏が魅せた
ジャストビートなそれとは対極の如しレルレ氏の肉体表現が、
ZEPP TOKYOへ場所を移した会然TREKの真骨頂かもと思いました。
うん。衝動ロックだった。すげぇすっげぇ。
レルレ氏のブログがまた、腑に落ちるポイントばかりなので、
謹んでEMBEDします。
20200313 & 0314【平沢進+会人(EJIN) 会然TREK 2K20▲03】〜ZEPP TOKYO 公演〜
前日は友人らと軽く飲み、早めの就寝。 ケンガンアシュラ原作者のサンドロビッチ・ヤバ子とベッドインまいちゃん。 (ずっともて...)
MCでも平沢さんが触れたとおり、大阪からは全曲差し替え。
チルアウト、って表現が正しいか分かりませんが
中盤でテンポを落ち着かせて終盤でガツンと持ってくのが
ここのところの平沢ライブの習わしですけども、
まさかその中盤パートにLEAKが入ってくるくらいな、
相対的に、近年まれに見るアッパーなライブ。
しかし、そんな中でもアコギを抱えて歌い上げるSWITCHED-ON LOTUSは、
数分前まで大ロック大会やってたとは思えないほど
場内の空気を変える力を帯びてました。
見せ場ばかりのライブでしたが、個人的にはここが一番響いた。
もうひとつ個人的な話をするなら
PLANET-HOMEで締めくくるライブって、震えが来るほど好きなんです。
「会人TAZZのリクエスト」と予告されてたルーピンは
さすがに生で聴いたの初めてでしたが、オドロオドロしさたまんなかった。
初日の終演後に同行の知人が
「キックのパターンがルーピンだったけど、まさかねぇと思ってたら」と
発言してたのが印象的でした。二日目に耳を澄ましたら、ああ確かに。
それとコヨーテ! 一体感が半端なかった!
あんなのが一発で揃ったの、初めて見た!
さて26年ぶりというか第6フォルマント版なので初お披露目でいいだろコヨーテ!LOOPING~と違って、無料配信でアレンジがたくさんの人に馴染みがあるおかげで大盛り上がり。第6版には本当は無いけど、最後の「ハイ!」はもう会場中から叫び声が。https://t.co/FDG5zVc0Hf
— 三万亭馬骨 (@techpul) March 14, 2020
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資料をアーカイブしたりリファレンスするのは
わりかし向いてるみたいなんですが、
見たものの衝撃を、感想へと熟成させてレポートするのは元来苦手なので、
ほんの数ヶ月も経てば、このような体たらくであります。
後で自分が見直して記憶の糸を辿れれば良いかなクラスだと反省。
これが私の2020年3月のレポ、の・ようなもの。
餅は餅屋。レポはレポ屋。
今を振り返ること約20年前、
過去の平沢さんやP-MODELのライブイベント諸活動をレポートするnoteが
キックスタートしたのでご紹介します。
三万亭馬骨|note
平沢進、P-MODELの過去のライブレポートを2020年から補完・再構築する「改訂レポ」。 時系列の投稿ではありません。 発言などは概ね意訳です。記憶違いや表記ブレなどはご容赦。
90年代P-MODELテキストレポートにあって
濃密な情報量と独自の観察眼・考察力でファンも多かった著者が、
当時の記録と記憶に2020年代リアレンジを施した改訂レポ。
現場に居合わせた人も納得の客観的なレポートでありつつ、
当時を知らない人達も抱腹絶倒する読み物ではないでしょうか。
記憶を何もかも忘れて、いきなりネットで読んでみたい。
2020.02.22-23 平沢進+会人(EJIN)「会然TREK 2K20▼02」 [四方山話]
博物苑の更新に関する諸作業は現在休止してます。平謝。
大阪の中心部である梅田から、川一つ挟んだ中洲地帯に位置する中之島。
多くの文化施設が集まり、存在感ある建築が立ち並ぶ一画ですが、
その西端ながら、ひときわ目立つ意匠を施されたビルが
グランキューブ大阪こと大阪国際会議場です。(設計:黒川紀章)
2700超の座席数は、
過去のP-MODEL(含核)・平沢進ソロライブと比べても
屈指のキャパシティであり、東京以外の公演では間違いなく最大。
そんな広い会場を二日間札止めにする集団と、
その観客総てを心から満足させるステージに圧倒されてきました。
選曲は誰もがうなづく平沢進オールタイムベスト。
30年のキャリアを縦断する選択と構成。
選曲だけでなく演出面でも過去ライブで用いた手法の
再構成を思わせるものもあり、もちろん新機軸も用意。
両日通じてアクシデントは多発するし
(特に会人66594428さんお大事に…)、
コンディションも上々とは決して言えませんでしたが、
終盤、救済の技法~QUIT~夢の島思念公園でのパフォーマンスは
惚けるまでに素晴らしかったです。ずるい。
QUITを演る平沢さんはずるい。
「魅せる」曲を決めてから、
帰納法で演出と構成を固めるライブは強いですね。
そうとしか言い表せない。
東京異次弦空洞のパラネシアンサークル然り。
何の根拠もない私感なんですが。
2ndアルバム「サイエンスの幽霊」は不思議な構成のアルバムで。
A面B面的な二部構成の曲配置だとしても、
収録曲の中で違和感あるくらい圧倒的にヘヴィなQUITを
A面最後の位置に持ってくるなんて考えられない。
よしんば置いたとしても、その後に照れ隠しみたいに
アモールバッファと夢みる機械なんて並べない。
たぶんスタンダードな曲配置をしてから一度、
徹底的に並べ直して、マッドサイエンティストの作品集のような
奇異な印象を持たせる意図があるんだと、勝手にずっと思ってます。
1990年代の某私設平沢FC会報でのアンケート設問
「嫌いなP-MODEL平沢ソロの曲」で実質2位にランクインしたQUIT。
その理由は皆同じで「ライブ最後の曲だから」。
これ演ると平沢さん引っ込んじゃうからね、という
愛あるコメントを覚えてます。
そんなエピソードがあるほど定番曲だったQUITですが、
時が過ぎてレパートリーから離れ、
PHONON2550以来となった今回の演奏。
QUITはトリを務めるに相応しい真打の曲だ、と改めて感じ入りました。
ユニゾンで繰り返し奏でる、アウトロのメロディの力強さったら。
もうホントずるい。
こんなのが3月も4月も待ち構えてるなんて。
予断を許さない世相ですが、どうぞ皆様、健康に留意して
万障繰り合わせて東京でお会いできますように。
楽しみ!
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余話を二つばかり。
初日の方のセットリストはLIMBOの次に狙撃手という順番でして、
2002年の平沢さんが出逢ったリカンベントから得た、
BLUE LIMBO と RED HORNET という2つの着想を、
それぞれ発展させた楽曲が奇しくも並んでおり、
恐らく偶然とはいえ20年近く前の出来事を懐かしんでました。
そのうちの一つが更に発展して、遂には新譜の世界観まで司り、
アルバム「BLUE LIMBO」となったと言う与太話は、
記憶違いの古爺が呟く忘れ語り。
パレードで披露されたロングレーザーハープは、
会人93317543と会人66594428のやり取りの途中で
トリガーが仕掛けられており、発動後はシーケンスと同期して
一小節中、1~3拍で扇状に拡がって4拍目に収束する運動を繰り返す。
それに伴い、会人93317543は1~3拍目で
レーザーを掬い上げる所作をし、
4拍目は両掌を広げて次の1拍目の準備へと戻る。
これはつまり、目視できるメトロノームが
一曲丸々表示されてる訳だから、
走ったりモタったりアレしたりの諸々が測れてしまい、
彼らもヒューマンなんだなぁと…。
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雨中の虫干会 [博物苑企画]
私が主催したオフ会を、先日おこないました。
> 何処の美術館や博物館にも、展示品を遥かに上回る収蔵品が
> 収蔵庫に眠っているものなんです。
> たまには日に曝して風を通したい。
>
> 一日限りで秘蔵の品の虫干しを執り行いながら、
> 資料の回し読みとご歓談ができれば良いなと願います。
…などと要旨をまとめて、「虫干会」と仰々しく銘打ち、
知人と、知人の紹介の方を対象にした、
ささやかな規模での資料集展示会。
昨今の馬骨界隈情勢について、思うところがあったのと、
博物苑を立ち上げてから15周年の節目という、
個人的な気持ちを込めながら、うちの資料を持ち出して一挙お披露目。
あれがうちの蔵出しです。
御大のライブ合わせで都心で不定期開催されてる
P-moblog様の資料閲覧オフには敵わないけども、
胸を借りるつもりでやってみようと、取り仕切ってみましたが、
催しを終えて、思うところが幾つもあったのは学びです。
馬骨界隈を遠巻きに眺めてると、このさき
資料閲覧オフが活発になる気配を感じつつありますが、
もしもうちが再び関わるならば、切り口を変えたいと痛感しました。
たとえば、1990年代P-MODELにテーマを合焦して、
それにまつわる資料を展示して閲覧。
隣接するブースでスライドか何かにまとめた資料を投射しつつ
当時を語れる人と共に、思い出話を打ち明ける。
テーマを設けた展覧会と講演会みたいなイメージです。
同じことを繰り返して行える性質ではないから、
あの日の蔵出しは、あの日限りの一点物で。
いずれにせよ、まずは持ち帰って積んだままの資料群を
蔵の中に収め直さなくては。
ご参加くださった皆様、ありがとうございました。
感謝です。
べつにフードファイトだけしに行ったわけではないんですよ。ジフさんの資料を見せてもらったり、思い出話に花を咲かせたりして来ました。たのしい!お菓子もたくさんくれたし。 pic.twitter.com/uXQWE1j3XW
— shotaro (@kynmstr) 2019年6月15日
更新案件が一つ未消化ですが、本日はこちらの話題をお届けしました。
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更新 2019.04.27 [博物苑更新]
DISCOGRAPHY - 2015-
「回=回」豊洲PIT公演 メモリアル・パッケージカード を追加
何はなくともフジロック出演!!!!!
なんですか。ねぇ、どういうことですか。
ひとしきり驚きましたわ。
やーもうほんと、とびっきり度肝を抜かされました。
あの日程では私用の方が強すぎて
どうあがいても見に行けないのが悔しい。
万障繰り合わせてフジロック行かれる方々は
どうか、心と腹の底から感情を振り絞って
ステージめがけて咆哮を飛ばしてきてください。
願わくば私の分まで。
さて、オーディオの話。
PC作業してるときのリスニング環境は、
オーディオインターフェースにヘッドフォンつないで音声出力が、
ここ20年のスタイルなんですけど。
化石のようなインターフェース(Roland UA-30)と、
ヘッドフォン(オーディオテクニカ ATH-A500)が現役かつ
大した不満も無く使えてるのは有り難いんですが。
単純にPC作業のモニタ音を聞くのに
いちいちヘッドフォンするのが面倒くさくなり、
外付けのスピーカーを調達。2000円ぐらいかな。
Bluetoothの遅延は苦手なので普通のピンプラグ接続。
このスピーカーがまた、安物買いのなんとやらで、
動画を見るくらいなら中の下くらいの実用度なんですが、
まともな音楽を聞こうとすると…、
明らかに籠もった音でねぇ…。
有線スピーカーだとOVOの評判が良さそうですけど
(あちらってモノラルなんですっけ?)
さすがに予算がちとオーバー。でも気になる。
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- メディア: エレクトロニクス
音楽を聞きたいときはこれまでのようにヘッドフォンかぶろう、とか
決意したのと同じくらいの時に、携帯音楽プレーヤーが寿命を全う。
リスニング環境なんて、歩くときかカーステレオにつなぐくらいだから
ハイレゾなんて別に要らないっす。ソースはMP3だし。
安くて64GBくらい音楽入って、余計な機能がついてなくて、
電池持ちが最高の携帯音楽プレーヤーって、どこかに無いのかな。
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- メディア: エレクトロニクス
更新 2019.02.15 [博物苑更新]
DISCOGRAPHY - 2015-
「回=回」東京公演 メモリアル・パッケージカード を追加
茅野市の時計台という、
ひょんなきっかけで立ち寄った諏訪地方。
思いのほか楽しい思い出で、何かの知識の足しになればと、
帰ってきてからも色々復習してます。
1月に行ったときには諏訪湖に諏訪大社、酒蔵味噌蔵と
そば屋ぐらいしか知らずに放浪してましたけど、
建築史家・建築家の藤森照信氏が設計建築した茶室が
諏訪大社上社の近隣にあるんですね。
人呼んで藤森照信建築群!
「路上観察学会」や「縄文建築団」など、
芸術家・赤瀬川原平の80年代以降の諸活動を追っかけてるときに
藤森氏の名前を私は知りましたが、
著書の「フジモリ式建築入門」(ちくまプリマー新書)を
読んだときは圧倒されたもんです。
「建築は思想と社会を映す鏡」
「床柱からステンレス流し台への家長交代」
序章からこんな切り出し。
中高生向けのヤングアダルト新書で。
ひれ伏す勢いで読み進めたのを覚えてます。
建築家としての代表作は赤瀬川邸である
ニラハウスが有名ですが、
一連の茶室群が奇抜かつ伝統的。
高過庵
空飛ぶ泥舟
低過庵
何の冗談か、と思ってしまうような建築ですけど、
これらは桃山時代、武士による茶湯文化が花咲いた頃に
作られた珍奇な庵を、現代に翻案したもののようです。
北野大茶湯あたりに出典があるのかな恐らく。
このあたり、不勉強かつ不確かで済みません。
低過庵は弥生時代の竪穴式住居も元となっているようで。
なんぞの本でこれらの写真を見て以来、
記憶の片隅に引っかかってましたが、
それが茅野からの行動範囲内にあるなんて。
(というか茅野が藤森氏の出身地だったとは)
またベルビアにそのうち行ければ良いなあ、と
ぼんやり漠然としてた思いが、
また行かなくちゃ!に変わった瞬間でした。
そんな近況報告でお茶濁し。
平沢進×斎藤環「平沢進・徹底解剖!」 【ゲンロンカフェ at VOLVO STUDIO AOYAMA #16】雑感 [四方山話]
サプライズ気味に開催発表されたインパクトと、
定員80席に対して応募数1000超えという、
年初からリアルラックが試されたトークイベント。
私はニコ生有料放送で観覧いたしました。
生中継されるなんて、良い時代ですね…。
斎藤環先生とのトークイベントは
ロフトプラスワン以来、といっても
そんなの16年前のことなので、
もはや現場に居合わせた人のほうが少ないでしょうか。
そちらの内容はGREEN NERVE会報15号にレポートされてます。
なお、その翌年には、別の機会ながらも続編的な
今敏・平沢進・斎藤環トークイベントも行われました。
これは会報16号にレポあり。
かつてのトークイベントを見た身としては、
今回はどんなお話から始まるのか、興味ありましたが。
前回の16年前から現在までの間での、
最大級の環境変化であるTwitterでの活動を切り口に、
「SNS時代にヒラサワが求心力を得た理由」
「ヒラサワの戦略性とテーマとの距離感」などから、
前回も掘り下げた(リスナーにはお馴染みの)
「ヒラサワ少年と音楽の馴れ初め」
「奇妙な夢の話」などの話題も改めて紹介しつつ。
話の枝葉は激しく飛び交いながらも
テーマからは脱線せずに一貫して根付いており、
平沢さんの発言の中から聞き逃がせぬワードを斎藤先生が
即座に拾い、専門用語も一瞬で咀嚼して観客へと解説し、
その火口から話題を広げて、会話をつなぐ。
その匙加減と、引き出しの開け方が絶妙で溜息ばかり。
リアルタイムにテンポよくキャッチボールしてる様を
モニタ越しにワクワクして見ておりました。
斎藤先生、平沢さんお疲れ様でした。
現代思想2011年9月臨時増刊号 総特集=緊急復刊 imago 東日本大震災と〈こころ〉のゆくえ
- 作者: 中井 久夫
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2011/08/24
- メディア: ムック
斎藤先生の手元には、先生が責任編集し、平沢さんが寄稿した
「imago東日本大震災と〈こころ〉のゆくえ」も置かれてました。
話の流れ次第では、それについての話題も聞けたのかな、と
すこし心残りではありますけど、
それはまた次の機会で語られるのを楽しみにします。
勉強不足で曖昧ですが、
ゲンロンカフェの対談は後から記事に書き起こされ
Kindle配信などもされてる(のかな?)様子。
濃密ながら、平沢進研究の基礎資料と成り得る内容でしたので、
今回の対談も出版されたら嬉しいな、心待ちにしたいっ。
--------
ここからは些細な話。
今回、私は当たる気がしなかったので申込からスルーしましたが
実は家人が思い出受験よろしく応募したら
十数倍強の確率をかいくぐり、まさかの当選。
強運だ!
翌朝には名古屋で外せない所用を抱えた中、
終わったら新幹線で帰ろうとスケジュールを立て
ボルボカフェへと向かう支度を整える家人。
トークイベントの終演時刻が21時半と知ったのは前日でした。
名古屋までの終電、22時ちょうど発車だよ。
青山から東京品川、絶妙に遠い。
どうあがいても当日中に名古屋に移動するのは
無理だと判った瞬間、東京の宿を即押さえて、
新幹線を翌朝始発に振り替えた行動力には脱帽です。
結局終わったの21時50分だから、完璧に正しい決断だよね。
冴えてる、冷静。おつかれさま。
茅野駅前ベルビア 時計台オルゴール [四方山話]
私は長野県の茅野駅にいました。
「長野県茅野市 時計台オルゴール」
この一行が公に発表されたのは今からおよそ27年前。
ロッキンオンJAPAN1992年発行号のインタビュー記事
「平沢進全仕事」文中リストです。
私は当該号を未だ所有しておらず、
後の再録書籍でこの存在を知った口ですが、
1999年初版の音廃本にも、この情報は記載されてますね。
改訂復刻DIGITAL版 音楽産業廃棄物(ダウンロード版 販売ページ)
ファンの間では、長いこと「平沢進の謎仕事」として
語り継がれたものの一つです。
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さて、総面積約266.6km²という、
大阪市(約223km²)よりも広大な土地を持つ茅野市。
「平沢ミュージック時計台は、茅野のどこに建ってるのか?」
これはマニアの間で、結構な昔から俎上に載せられた話題でした。
なにせ情報が少なく、公園なのか、公共施設なのか、
そもそも時計台ということは、毎時一度鳴るのか正午だけなのか、
聞いたところで、それが平沢曲と判別できるシロモノなのか。
すでに壊れてそう。もう撤去されてたら徒労に終わるよな。
どこからアプローチすれば良いのやら、まっっっったく見当がつかず、
話題に花咲くも、結局は尻すぼみで終わるのがいつもの常でした。
せめてもう少しだけでいいから手がかりが欲しい。
そんなこんなで月日は10年単位で流れ去り。
去年の秋頃でしたか。
その時計台は茅野駅前商業施設「ベルビア」のものではないか、
…という手がかりが、Youtubeの動画リンクとともに、
私のTwitterタイムラインまで流れてきました。
一聴して、「あれじゃん!」と出だしの2拍で断定できる、
間違えようもない平沢ミュージックに大笑い。
あーまだ残ってたんだ。へーびっくり。
いつ行こう!
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茅野駅はJR東日本の中央線。
蓼科高原、白樺湖、八ヶ岳への玄関口でもあり、
東京方面からは、スーパーあずさを始めとする
各種特急もすべて停車する、アクセスの良い駅です。
しかし私は名古屋方面。
特急しなので塩尻まで行き、そこから普通列車に乗り換え。
30分ほど揺られて茅野駅まで移動。
NEW DAYSやacureの自販機で東に来たのを実感しました。
西口からベルビアは連絡通路で直結してるので、
あっという間に到着。
ガラスドアをくぐるとすぐに目に入る時計台。
一階から三階までを貫く中央吹き抜けの真ん中に位置する
セイコー製の金時計は、四柱の間に白樺の木が模されていて、
枝葉には小鳥たちもいくつか配置。
これが茅野ベルビアの時計台です pic.twitter.com/7yDFRavr3p
— ジフ (@jiffneda) 2019年1月13日
往時は時計のオルゴールに合わせて、
鳥も動いていたという話が残ってますが、
現在はそちらの機構は停止されてました。
追記20190121:
鳥が動いていた頃の動画。
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ベルビアの営業時間は10時から19時。
ダイヤの都合で10時半頃に着き、11時に鳴るだろう定刻演奏を聞き、
12時前には茅野を離れないと、この後のスケジュールが
すべてパーになってしまうプレッシャー。
「ほんとに今でも鳴るのかな?」などと疑心暗鬼になりつつ
写真を撮ったり、中の店舗をぶらぶら散策してると、
時刻はまもなく11時。
11時の訪れとともに鳥のさえずりサンプリングが時計台広場に響き、
平沢さんの手によるオルゴールミュージックが流れ出しました。
…オルゴールやチャイムみたいな小品じゃないよ。
トータル3分の長尺曲だよ!
お聞きのとおり、1989年発表「CG年賀状」の真ん中パート
「新春平沢オゾノ対談」に使われたBGM……と思いきや、
笛の音をイメージしたハイトーンシンセのメインメロディが、
CG年賀状のそれと差し替えられてる!
明らかに違う旋律が奏でられ、こっちの方が作り込まれてる!
さてはいくつか作曲したうちの、採用版がベルビア時計台のもので
没テイクをCG年賀状に流用したんですか恐らく?
(ということは、CG年賀状1stパートの中華風ミュージックも
元々はどこかのCMお仕事曲だった可能性が高そう)
事の真偽はさておいて、
ベルビアが1987~88年頃オープンとのことですから、
時系列的にも、まずベルビア時計台ありきで作られてから、
後に特定少数ファン流通向けのCG年賀状に流用されたのは
確かなようです。
追記20190118:
Wikipedia岡島百貨店の項目によれば、
「1987年(昭和62年)10月8日に(中略) 建設された再開発ビルベルビア」
との情報。旬IVの頃じゃないですか。
P-MODEL本体はMONSTERレコーディング騒動の渦中、
まさかその時期のスタジオレコーディング音源なソロ曲が、
あんなクリアな状態で残されてるなんて!!
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良い時代になったもので、我々が情報を探しても
手がかりのシッポすら掴めなかった頃に比べ、
フルサイズの演奏シーンが今ではYoutubeに上げられてます。
しかし敢えて、茅野で聞く充実感があると、感じました。
旅して辿り着いた優越感とか、そんなんじゃなくて、
茅野の人たちの生活に溶け込んでる様子がたまんない。
駅ビルの中央なんていう何気ない日常の空間で、
毎時零分の訪れを告げる平沢ミュージック。
それが30年以上もの間、ここで鳴り響いてるわけで、
普段からなんとなく耳にしてる人たちにとって
当たり前の光景として溶け込んでるのが、
平沢進の一ファンとしては羨ましくもあり。
なにが印象深いって、人々の生活の一端になってるんですよ。
実例を挙げると、これが流れてるときに
広場を通りかかった子どもたちが、リズムに合わせて
軽く両手を横に振りステップしながら過ぎ去ってって。
この光景を見たとき、心が少し沸き立ちました。
これはたまたまですけどね。
他にも演奏中に周りを見渡せば、
行き交う人々もどことなく和やかな雰囲気だし。
待ち合わせ場所や休憩場所として、金時計自体が愛されてるし。
金時計の空間デザインや、それに巻き付いた正月飾りも相まって、
駅ビルの中を通り過ぎる人や、そこで働く人たちの生活を彩る、
パブリックアートとして馴染んだ環境が成り立ってるのを実感し、
ちょっと感激しました。
この感覚はたぶん、ベルビアの中に居て聞けたからこそ
味わえたものであると、なんとなく思います。
今にして思えば、志摩スペイン村ロストレジェンドも
それに類するものだったなあ、と感慨にふけったり。
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ベルビアのお土産代わりに、オルゴール演奏風景を自前で録画し、
Youtubeに上がってるものよりも、ちょっと上質の画質音質映像が、
私の手元にあります。これは平沢コレクターとしての宝物。
ベルビア時計台を横に置いても、
茅野の街は縄文土偶に強い博物館が隣接してますし、
諏訪地方はそば処にして酒処。
諏訪湖も温泉もありますし、観光にもうってつけで楽しいな。
ここを拠点に一日遊んでも良かったな、と
帰ってきてからも思い出します。
長野の駅は立ち食いそばがどこも美味しそうでした。
折を見てまた諏訪観光に行きたいです。
その際には茅野の一部として息づく
平沢さんのあの曲を、また聞ければ良いなあ。