SSブログ

Black in White ~ Global Trotters European issue [四方山話]

ClusterのHans-Joachim Roedeliusが中心となり、
小西健司と平沢進が参加して、1999年にアルバム「Drive」をリリースした
ネットワークミュージシャンプロジェクト「Global Trotters」。

Drive

Drive

  • アーティスト: Global Trotters
  • 出版社/メーカー: biosphere records
  • 発売日: 1999/03/25
  • メディア: CD


日本ではbiosphereレーベルから発売されましたが、
実はこのアルバム、ヨーロッパでもRYKODISCというところから発売されました。
日本盤が白地に黒のジャケットで、欧州盤は黒地に白と対照的。

Global Trotters Project V.1

Global Trotters Project V.1

  • アーティスト: Roedelius
  • 出版社/メーカー: Rykodisc
  • メディア: CD


(以下、日本盤=「白盤」欧州盤=「黒盤」と表記)
発売当時から「どうせなら黒盤も欲しいなー」と思ってましたが
この度のユーロ安に乗じて、念願かなってようやく入手できました。
そして再生してみてビックリ。白盤とは異なる内容だったのです。
白盤ライナーのメカ野氏解説や発売当時のインタビューで触れられてた
The ORBのAlex Patersonによるリミックスナンバーが、
黒盤の方には収録されてるとは聞いてましたが
他の曲にも手が加えられてました。

そこで今回は、白黒盤のライナーや
当時のインタビューをひもときつつ、私の想像を加えながら、
白と黒、それぞれのGlobal Trottersの違いをまとめます。


----------
白盤に収録されてるのは「Parallel Motives」「Tribal Engine」「Drive」と
Tribal Engineのリミックス「Tribal Engine "Neuromask Mix"」。
対して黒盤には「Parallel Motives」「Drive」「Tribal Engine」に
先ほど触れたAlex Patersonによる「Parallel Motives II」。

このうち白盤ライナーの解説にも下記のように記されてる通り、
> このアルバム(白盤)は基本的に小西/平沢サイドのミックスなのだが、
> 4曲目はボーナストラックとしてレデリウス側がミックスした「Drive」が収録されてる。

(※ここでの「Drive」は「Tribal Engine」の間違いかと思います)
白盤の「Tribal Engine "Neuromask Mix"」と黒盤の「Tribal Engine」は
音圧が若干違いますが、ほぼ同一曲でした。
しかし、それ以外の曲はタイトルが同じでもミックス内容が異なり
仕上がりの曲調もまったく違う表情を見せています。
それはなぜなのか。

再び白盤ライナー解説から引用します。
> 他の曲もこのCDに収録された以外の4者4様のミックスが存在しており、
> それぞれまったく表情が異なる。


この解説を証言するかのように、サウンド&レコーディングマガジン
1999年4月号のインタビューでも次のように語られてます。
> 平沢:ミックス・ダウンが終わったとき、レデリウスが
> マスタリングはアイルランドでしようって言ったんです。
> で、DATを送ったらマスタリングじゃなくてリミックスしやがった(笑)
>
> 小西:ボーナス・トラックとして収録した以外にも
> ジ・オーブのアレックス・パターソンがリミックスしたのもあったんですけど……。
>
> 平沢:それがとんでもないものだった。20分以上にも及ぶやつでCDに入らない(笑)
>
> 小西:レデリウスは“リリリミックスで面白いだろう”とか言ってた……
> リミックスのまたリミックスということらしいけど。
>
> 平沢:でも、レデリウスの奥さんはオリジナルが好きだって言ってたらしい(笑)


さらに、黒盤ライナーには以下の記述が。
> This European issue is the remixed version of the original material
> that came out in March 1999 via Biosphere Japan.



…つまり、白盤をオリジナル素材として
Roedelius側がリミックスした音源を収録したのが
ヨーロッパで発売された黒盤だったんですね。
それって普通、リミックスアルバムって言うんだと思います。

リミックスと言っても「舟」と「Corrective Errors」のように
まったく様相が異なるものではなく、
「Perspective」と「Perspective II」、
もしくは「賢者のプロペラ」CD版とMP3版よりも、
もうちょっと変化がついた感じでしょうか。


「Drive」発売から12年。
恥ずかしながら今の今までまったく知りませんでした。
素人想像はこの辺にして、Global Trottersについての詳しいお話は
本職にして造詣の深さでは右にでる者はいない
ショップメカノの中野店長に尋ねるのが早道かと思います。
ぜひ、次にお会いしたときには私も詳しくご教授願いたい所存です。

しかし、通販サイトの日本輸出対応の充実と昨今の円高により、
海外通販の敷居がグッと下がったのを、あらためて実感します。
Amazon.co.jpでの注文とほぼ同じフォーマットで
アメリカのAmazon.comやイギリスのAmazon.co.uk、
ドイツのAmazon.deなどから注文できますし、
通常便を選択すれば送料も数百円程度。
このごろは各国のAmazonや海外の通販サイトを眺めて
ため息をつくのが趣味になってきてます。
私は黒盤をAmazon.deで0.34ユーロで買いました。

黒盤は各国のAmazonのマーケットプレイスでも取り扱って
いくつかの業者は海外発送にも対応してる様子です。
(今回はドイツ在住の友人に購入代行していただきました)
他にも実は日本のAmazon.co.jpのマーケットプレイスにも
いくつか出品されてます。
業者にもよりますが最安値は800円以下。

さらに今年からはAmazonのMP3ストアでも取扱いが始まったようで
どれだけ敷居が下がれば気がすむんでしょうか。
こちらはアルバム単位の販売で1500円。
Global Trotters Hirasawa / Konishi / Bickley / Roedelius | 形式: MP3 ダウンロード
なお、MP3版は海外Amazonでも取り扱われてて、
そちらでは8.99ドルやら9.31ユーロやら7.49ポンドやら、
なんだか魅惑的な数字が並んでます。
こういうMP3とかって海外Amazonからでも買えるのかな。

思い出話で恐縮ですが、黒盤リリース当時、
Roedelius個人サイトの通販ページから買おうとして
「日本まで送っていただけるかしらん(意訳)」とお願いしたら
「ごめんよ、それはできないんだ(意訳)」と丁重にお断りされたのを思い出します。
こんなに海外通販が簡単になる時代が来るって、あの頃の自分に教えてやりたい。


うむ。見事にどうでもいい与太話になったので軌道修正。
平沢ソロやP-MODEL・旬などに比べて、あまり語られる機会のないGlobal Trottersですが、
「MP3ベースによる楽曲制作」という音楽産業廃棄物プロジェクトの試験運用的な側面があり、
平沢・小西視点では不幸のプロジェクトの発展形でもあり、
はたまたジャーマン・エレクトロ・ロックの巨匠と日本テクノニューウェイブの重鎮の共作という、
いま振り返っても重要な作品だと思います。
それが日本と欧州をまたにかける表裏一体のツインアルバムだったという事実。
この記事が「Drive」再評価のきっかけになれば嬉しいと願います。

あ。個体差はありましょうが黒盤は倉庫管理がいまいちっぽくて
(そりゃ二束三文で叩き売られてるわけだし)
経年劣化してるものもあるみたいです。ご注意。
私が入手したものは盤面はまったく問題ありませんでしたが
開封した瞬間にケースのCD固定爪がポロポロと割れ落ちました。
ケース買わなきゃ。

最後にRoedeliusのソロアルバムをご紹介。
メカノ店長にお薦めされて以来の愛聴盤です。入眠に最適。

Vol. 2-Selbstportrait

Vol. 2-Selbstportrait

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Bureau B
  • 発売日: 2010/12/28
  • メディア: CD


コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント