実験室で、キミと - 景観する循環カフェ追加公演20170315夜の部 [四方山話]
※終演後の帰途で速報的に書いた、プロットみたいなレポートです
※ライブレポートはネタバレ過重につき、お嫌いな方は閲覧注意
※推敲や裏取りをしてないので誤字誤認など正確性に欠けてると思います
※私にとっては大体事実ですが話半分でお楽しみください
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今回は整理番号良番につき、最前列上手側・機材ブースど真ん前の「異世界の入り口席」を容赦なくゲット。転がしモニターとカンペタブレットを挟んで演奏中の平沢さんと対峙する、文字通り玄人男子向けの席。
ステージ構成は上手側に機材ブース、下手側はカウンターチェアとテーブルが二組でトークタイム向けと思われる。奥にある樋が4つ括られた器具がお土産配布器だろうか。そうだなきっと。
席の利を生かして首を伸ばし機材ブース観察。マイク2つ(ボーカル用と平沢コーラスサンプリング用)、メイン処理担当のDAW立上げ済ノートPC、ギターEVOと足元にエフェクタ、手元にはポータブルミキサー、アオリ配置でほとんど見えなかったけどDAWの各トラックを直接操作するキーボード的なハード。歌詞カンペ用と思われるタブレットもあり。それとライブが始まってから出された予備タルボ。DAWソフトは詳しくないからよくわからず。一画面に12トラック並んでるのは分かった。もうひとつ、客席に向けられたマイク。観客コーラス用だろう。
実はこういうかぶりつきは、スタンディングや座席指定ライブ、それに柿ピー食べつつ見てたロフトプラスワンイベントなどで何回か経験してて、さすがにここ数年の平沢ブレイク後はそんなに良番巡って来なかったけど、久しぶりの最前は開演まで緊迫感が溢れて周りのおねえさんの決死の覚悟が鋭かった。
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開場15分押し、開演は定刻どおり、ケイオス平野さんの前説に続き平沢さん登場。前説でタイムテーブルは質問トークタイム60分、休憩15分、ライブ40分、最後にお土産を配って流れ解散との発表。挨拶の後、早速事前に参加者から投稿された質問を平野さんが読んでそれに平沢さんが答える質問タイム。読まれた(教えない)。
トークタイム終了時に後半の解説。ループトラックにギター演奏を重ねて伴奏を作り、そこにボーカルを乗せて歌うのが基本内容、曲によっては平沢コーラスや観客全体の「皆の衆コーラス」を作るとのこと。3曲演奏するが去年とは2曲差し替え。歓喜の会場。「前回からシステムを一新したのは良いが、やることが複雑になってしまった」「この演奏スタイルにも飽きてきたので途中で演奏を切り上げるかもしれない」「でも顔色を変えないからトラブルなのか故意なのか分からない」みたいなことを話して笑いをとる真打平沢。一旦休憩。
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で、後半ライブ。ベーシックトラックの穏やかなシーケンスが1小節ループで廻る中、ノートPCを操作してRECスタートしギター演奏開始。こんなのを重ねるんだ! エフェクタをほとんどかけないプレーンな音色の爪弾きを、1音ずつ次々と素早く、ループが廻る度に重ねてく、徐々に形になる音像、まるでアコースティックに弾き奏でたかのような残像が廻り続ける。
少しずつエフェクタをかけて音色を変えていき、音色ごとに録音トラックも追加され、リッチな感じになった頃合いで長めのギターソロを奏でてから満を持してボーカルマイクへ。「みーあげーる、とぉーぉのぉー」…おお「MOONTIME」!曲の進行に合わせてDAWをハード操作して任意のトラックをミュートしてブレイク、曲調にリアルタイムに変化をつけながら歌うムーンタイムが結果的には初日では会心のベストアクトだった。こういうのを見せたかったんだろうなというお手本のようなプレイ。
2曲目では先ほどとはイメージがガラリと違う荒々しげなベーシックトラックが鳴りだす。やはりギターを大胆かつ丁寧に重ね合わせてゆき、骨太な印象のトラックが仕上がったと思ったらマイクを取り、歌い出す。……聞いたこと無いぞこんなメロディー。なんだこの歌詞……へ?「電光浴」?
電光浴といえば、かつてはソーラーライブで小学生達が充電したバッテリーだけを使ったギター弾き語りで歌われたり、エナジーワークスの余剰電力でアレンジされたインストトラックにギターを乗せて別曲に仕立て直されたりと、結構冒険的な局面で出番がくる切り札的な曲でもあって、今回のようにアレンジやメロディーまで跡形がなくなっても受け止める包容力。
ワンコーラス歌いあげてからマイクを変えてノートPCのハードを操る。どうやら自分の声を重ねてバカコーラスを作る模様。いくつか発声、しかしループに収録されない。何度か試行錯誤するもうまく行かず、演奏しながらの究明は大変そう…とドキドキしてたら演奏停止、「マシントラブルです」「いや、私のトラブルだな…」。いくつかトライしてコーラスのサンプリングへの成功が確認されてから演奏再開、頭から演奏し直しの電光浴テイク2。
しかしコーラスをループに収録すると不調が続く、なぜかタイミングがずれて裏打ちのようになってしまう(実際は綺麗な裏ではなく生理的に許せないタイプのずれ方)。力業で強行して電光浴を完奏するも、出来映えにはもの足りぬ様子。
3曲目は問題の皆の衆コーラス曲。まずは観客に声を出させて皆の衆コーラス声量をモニタリング。次にベーシックトラックを鳴らしながらコーラスの手本を平沢さんが口ずさむ。4音、音程変化も簡単、なんとかなりそう。数回練習してオーケーが出たところで演奏開始。皆の衆コーラスをサンプリングするも、やはり先ほどの平沢コーラスのように遅延が発生する。これってかなり重症そう…。
前2曲同様手早くギターを重ねるも、ベーシックトラックとコーラスパートのズレは結構致命的っぽい印象。近年では珍しいくらい焦りの色がにじんでる。あ、ボーカル乗せた、「白く巨大で」だ。あー、また演奏止まった。頑張って平沢さん。見てる以上に何もできないけど。
「すみません、皆さんからいただいた声を消してしまいました!」あちゃー。スタッフ鎮西さんが出てきて色々対策。「すでに結構時間が押してますけどお時間ダイジョブですか?」もう一度皆の衆コーラスを録り直して「白く巨大で」を演奏するも、事態は打開に至らず無念の演奏中断でタイムアップ。実質5曲近くの演奏になり、お疲れさま……。私どもは明らかに貴重なライブが見れて美味しゅうございましたが、プレイヤーとしては内心忸怩たる思いかと心中お察し申し上げます。明日以降は問題解決しますように。
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でも、後半ライブ中に感じたのは、これは普段の平沢ソロや核Pで見られる「ショーアップされてパッケージングを施した」ショーとしてのライブとは一線を画した、プライベート感が強く実験要素と偶発性を取り入れたFC会員向け特別ライブなんだなと実感。もう一歩踏み出して言えば、平沢ソロというよりも「旬」の名が冠せられてもおかしくないようなライブ。
いつかどこかのインタビューだったか失念したけど「私の持つプロジェクトはそれぞれ用途が違い、旬の役割は実験ラボとしての活動で、P-MODELは実験成果を生かした生産プラント、平沢ソロがパッケージングした商品を流通する役割を果たす」という意味合いの発言があったのを思い出す。それに当てはめると、今回の循環カフェライブは間違いなく数千人規模のパッケージ向けではなく、平沢演奏テクニックの一例を実験ラボで少数公開したという趣だったのではなかろうか。
もう一つ特筆すべき点は近年の平沢ライブでは意図的に排除されてきた偶発性とフリープレイをふんだんに取り込んだスタイルが見られたのも収穫だった。シーケンス中心のシステムにフリープレイを取り込むスタイルと言えば元P-MODELメンバーでもある中野テルヲの十八番だが、実験的で荒削りとはいえ平沢さんが普段見せないような引き出しを披露したのは個人的に興奮するファクターである。とても贅沢な一夜を過ごした。
最後に雨樋のような器具から平沢さんがギターピックセットを流し渡してくれて2145解散。お疲れさまでした。
追記:玄人男子席の感想。平沢さんのプレイスタイルとプロのステージ芸を真正面から勉強できる、またとない機会を得られる席だった。とても贅沢な経験ができるので機会に恵まれた方は正気を保ってのご観覧をお勧め!一見の価値あり。
※ライブレポートはネタバレ過重につき、お嫌いな方は閲覧注意
※推敲や裏取りをしてないので誤字誤認など正確性に欠けてると思います
※私にとっては大体事実ですが話半分でお楽しみください
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今回は整理番号良番につき、最前列上手側・機材ブースど真ん前の「異世界の入り口席」を容赦なくゲット。転がしモニターとカンペタブレットを挟んで演奏中の平沢さんと対峙する、文字通り玄人男子向けの席。
なお最前列にはライブ中に師匠が2mの目前で足を開閉するという異界の入り口のような席が1つありますので、ここには是非玄人男子にお掛けになっていただきたいです
— hirano mika (@hira_non) 2016年11月2日
ステージ構成は上手側に機材ブース、下手側はカウンターチェアとテーブルが二組でトークタイム向けと思われる。奥にある樋が4つ括られた器具がお土産配布器だろうか。そうだなきっと。
席の利を生かして首を伸ばし機材ブース観察。マイク2つ(ボーカル用と平沢コーラスサンプリング用)、メイン処理担当のDAW立上げ済ノートPC、ギターEVOと足元にエフェクタ、手元にはポータブルミキサー、アオリ配置でほとんど見えなかったけどDAWの各トラックを直接操作するキーボード的なハード。歌詞カンペ用と思われるタブレットもあり。それとライブが始まってから出された予備タルボ。DAWソフトは詳しくないからよくわからず。一画面に12トラック並んでるのは分かった。もうひとつ、客席に向けられたマイク。観客コーラス用だろう。
実はこういうかぶりつきは、スタンディングや座席指定ライブ、それに柿ピー食べつつ見てたロフトプラスワンイベントなどで何回か経験してて、さすがにここ数年の平沢ブレイク後はそんなに良番巡って来なかったけど、久しぶりの最前は開演まで緊迫感が溢れて周りのおねえさんの決死の覚悟が鋭かった。
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開場15分押し、開演は定刻どおり、ケイオス平野さんの前説に続き平沢さん登場。前説でタイムテーブルは質問トークタイム60分、休憩15分、ライブ40分、最後にお土産を配って流れ解散との発表。挨拶の後、早速事前に参加者から投稿された質問を平野さんが読んでそれに平沢さんが答える質問タイム。読まれた(教えない)。
トークタイム終了時に後半の解説。ループトラックにギター演奏を重ねて伴奏を作り、そこにボーカルを乗せて歌うのが基本内容、曲によっては平沢コーラスや観客全体の「皆の衆コーラス」を作るとのこと。3曲演奏するが去年とは2曲差し替え。歓喜の会場。「前回からシステムを一新したのは良いが、やることが複雑になってしまった」「この演奏スタイルにも飽きてきたので途中で演奏を切り上げるかもしれない」「でも顔色を変えないからトラブルなのか故意なのか分からない」みたいなことを話して笑いをとる真打平沢。一旦休憩。
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で、後半ライブ。ベーシックトラックの穏やかなシーケンスが1小節ループで廻る中、ノートPCを操作してRECスタートしギター演奏開始。こんなのを重ねるんだ! エフェクタをほとんどかけないプレーンな音色の爪弾きを、1音ずつ次々と素早く、ループが廻る度に重ねてく、徐々に形になる音像、まるでアコースティックに弾き奏でたかのような残像が廻り続ける。
少しずつエフェクタをかけて音色を変えていき、音色ごとに録音トラックも追加され、リッチな感じになった頃合いで長めのギターソロを奏でてから満を持してボーカルマイクへ。「みーあげーる、とぉーぉのぉー」…おお「MOONTIME」!曲の進行に合わせてDAWをハード操作して任意のトラックをミュートしてブレイク、曲調にリアルタイムに変化をつけながら歌うムーンタイムが結果的には初日では会心のベストアクトだった。こういうのを見せたかったんだろうなというお手本のようなプレイ。
2曲目では先ほどとはイメージがガラリと違う荒々しげなベーシックトラックが鳴りだす。やはりギターを大胆かつ丁寧に重ね合わせてゆき、骨太な印象のトラックが仕上がったと思ったらマイクを取り、歌い出す。……聞いたこと無いぞこんなメロディー。なんだこの歌詞……へ?「電光浴」?
電光浴といえば、かつてはソーラーライブで小学生達が充電したバッテリーだけを使ったギター弾き語りで歌われたり、エナジーワークスの余剰電力でアレンジされたインストトラックにギターを乗せて別曲に仕立て直されたりと、結構冒険的な局面で出番がくる切り札的な曲でもあって、今回のようにアレンジやメロディーまで跡形がなくなっても受け止める包容力。
ワンコーラス歌いあげてからマイクを変えてノートPCのハードを操る。どうやら自分の声を重ねてバカコーラスを作る模様。いくつか発声、しかしループに収録されない。何度か試行錯誤するもうまく行かず、演奏しながらの究明は大変そう…とドキドキしてたら演奏停止、「マシントラブルです」「いや、私のトラブルだな…」。いくつかトライしてコーラスのサンプリングへの成功が確認されてから演奏再開、頭から演奏し直しの電光浴テイク2。
しかしコーラスをループに収録すると不調が続く、なぜかタイミングがずれて裏打ちのようになってしまう(実際は綺麗な裏ではなく生理的に許せないタイプのずれ方)。力業で強行して電光浴を完奏するも、出来映えにはもの足りぬ様子。
3曲目は問題の皆の衆コーラス曲。まずは観客に声を出させて皆の衆コーラス声量をモニタリング。次にベーシックトラックを鳴らしながらコーラスの手本を平沢さんが口ずさむ。4音、音程変化も簡単、なんとかなりそう。数回練習してオーケーが出たところで演奏開始。皆の衆コーラスをサンプリングするも、やはり先ほどの平沢コーラスのように遅延が発生する。これってかなり重症そう…。
前2曲同様手早くギターを重ねるも、ベーシックトラックとコーラスパートのズレは結構致命的っぽい印象。近年では珍しいくらい焦りの色がにじんでる。あ、ボーカル乗せた、「白く巨大で」だ。あー、また演奏止まった。頑張って平沢さん。見てる以上に何もできないけど。
「すみません、皆さんからいただいた声を消してしまいました!」あちゃー。
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でも、後半ライブ中に感じたのは、これは普段の平沢ソロや核Pで見られる「ショーアップされてパッケージングを施した」ショーとしてのライブとは一線を画した、プライベート感が強く実験要素と偶発性を取り入れたFC会員向け特別ライブなんだなと実感。もう一歩踏み出して言えば、平沢ソロというよりも「旬」の名が冠せられてもおかしくないようなライブ。
いつかどこかのインタビューだったか失念したけど「私の持つプロジェクトはそれぞれ用途が違い、旬の役割は実験ラボとしての活動で、P-MODELは実験成果を生かした生産プラント、平沢ソロがパッケージングした商品を流通する役割を果たす」という意味合いの発言があったのを思い出す。それに当てはめると、今回の循環カフェライブは間違いなく数千人規模のパッケージ向けではなく、平沢演奏テクニックの一例を実験ラボで少数公開したという趣だったのではなかろうか。
もう一つ特筆すべき点は近年の平沢ライブでは意図的に排除されてきた偶発性とフリープレイをふんだんに取り込んだスタイルが見られたのも収穫だった。シーケンス中心のシステムにフリープレイを取り込むスタイルと言えば元P-MODELメンバーでもある中野テルヲの十八番だが、実験的で荒削りとはいえ平沢さんが普段見せないような引き出しを披露したのは個人的に興奮するファクターである。とても贅沢な一夜を過ごした。
最後に雨樋のような器具から平沢さんがギターピックセットを流し渡してくれて2145解散。お疲れさまでした。
追記:玄人男子席の感想。平沢さんのプレイスタイルとプロのステージ芸を真正面から勉強できる、またとない機会を得られる席だった。とても贅沢な経験ができるので機会に恵まれた方は正気を保ってのご観覧をお勧め!一見の価値あり。
2017-03-16 01:36
コメント(2)
楽しいレポありがとうございました。
二曲差し替えですってぇえ
油断しました(崩れ落ちる
by 通りすがり (2017-03-16 22:09)
通りすがりさん>
察するに去年の循環カフェ本公演へご参加でしょうか?
本公演ではロタティオン・電光浴・CHEVRONでしたっけ、
核Pナンバーからもチョイスされるとは思わず意表を突かれました。
コメントありがとうございます。
TwitterでいただくファボやRTも有り難いのですが、
やはり直接いただくコメントはとても嬉しいです。
by ジフ (2017-03-17 10:18)