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設立前夜(3) [昔語り]

[平沢博物苑]の制作は、2004年5月に始めました。
「REVIEW項目作成から作業開始」と記録に残ってます。


年代別にまとめられたスクラップファイルから雑誌記事をひとつひとつ読み直して、
要点を抜き出しまとめて、掲載内容を記す。
思い出しただけで、気が遠くなる地味な作業です。

しかし、この作業中に今まで見落としてた発見や
再確認できた事がいくつもあったのは、大きな収穫でした。
まず、頑固なまでに一貫性がある平沢進の発言。
例えば、アルバム“PAUSE”のライナーノーツ。そこで予告したとおり、
その後に再結集したP-MODELは活動拠点を電子ネットにシフトして
「電子部族」をシンボルとし、常にインターネットと密着した活動を繰り広げました。
なお、「電子部族」の下りについては、別の機会に項を設けて述懐できれば、とも思います。

次に(ある意味で当たり前のことですが)
インタビュー記事というのは、語り手の意志よりも、記者・雑誌の意図の方が強く反映されて、
語り手の意志も歪められることも時にはある、と感じました。
こんな作業を延々と繰り返してると、素人目にもそれとなく分かってきます。
インタビュー対象の魅力を引き出すのが巧みなトコロや、自社の我を押しつけるトコロが。

無数のインタビューに含まれた様々な意図・意志を清濁併せ呑んで抽出し、
そこから汲み出される全体像で、平沢進の行動原理が浮かび上がれば面白い。
いま振り返るとREVIEWの掲載内容を作る行程は、まるで点描画を描いてるような心境を味わえて、
地味ながらも最も楽しい作業でした。


REVIEW項目が完成したら、いよいよ単純作業です。
スキャナを駆使して、チラシ・書籍など多数の資料を取り込み集めた素材を
HTMLのテーブルに並べて装丁を整える。同時進行で大まかなサイトマップをまとめ
トップページのデザイン、それらをレイアウト…etc。

サイトデザインは試行錯誤の繰り返しでした。
どうすればパッと見てすぐ分かる、小綺麗なデータベースになるか?
頭を悩ませたのは各ページの配色。「ホームページCOLORサンプル集」なる本を頼りに
テーマ別にそれっぽくでっちあげましたが、皆さんの目にはいかようにお映りでしょうか。

もうひとつの悩みの種は、サイトの顔である名前。
つまり、[平沢博物苑]というサイト名ですが。
平沢 ・ 博物 ・ 苑。 大きく出たもんです。
今もなお「あれで良いのか?」との念が、時折、頭をよぎります。
もう少しマシなの無かったのか。


そんなこんなを経て、5月末までにはサイトの骨子が完成。
レンタルサーバも取得して、翌月には公開に至ります。

ちなみに公開当時にはディスコグラフィがありませんでした。
「公式やファッシネイションのサイトに強力なものがあるから」と
いう理由でしたが、やはりカタログならばアルバム目録は
あるに越したことはない、と思い直し、急ごしらえで仕立てた次第です。
裏ジャケも掲載してるのは、後発ゆえの苦し紛れの打開策ですが、
「アルバムは表裏ジャケット合わせて一つの作品」という思いもあります。
どうぞジャケットを含めて、P-MODEL / 平沢進の作品をお楽しみ下さい。
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設立前夜(2) [昔語り]

裏P-MANIA
銀P-MODEL
ピコエンタテインメント Vol.2
終末の果実目録
KB SPECIAL 1993年9月号
GOLD WAX No.24
P-MODEL結成20周年記念書籍 音楽産業廃棄物


いずれも1990年代に発行されたP-MODEL資料集です。
P-MODELを知ったばかりのファンへ向けて
親切丁寧に解説されているものから、
十数年の歴史を余すところなく詰めた電話帳サイズの資料本、
よほどコアなマニアすら滅多にお目にかかれない
激レア音源ばかりを紹介した超上級者向けの記事まで、
作り手の意志とP-MODELへのリスペクトが伝わる一級品の資料ばかり。

90年代初頭に巻き起こったテクノポップ再ブームの
真っ直中でP-MODELに興味を持った私は、
折良く発行されたこれらの資料集に大変お世話になりました。
特に、マンドレイク時代から1993年までの雑誌・会報記事・
チラシを大量に収録した資料同人誌“裏P-MANIA”を手にしたときは、
「宝だ! バイブルだ! 一生モノだ!」と狂喜乱舞したのを覚えてます。

しかし雑誌や書籍は、その性質上、
一定期間が過ぎると途端に入手困難になってしまいます。
近年の例では“音楽産業廃棄物”。
初版刊行時から半年も経たぬうちに入手しづらくなり
版を改め復刊するまでに6年もかかりました。
(むしろ、fukkan.comでの地道なリクエストや、
それを受けての復刊交渉が困難を乗り越えて実を結び、
復刊の日の目をみたことが、ひとつの奇跡だったとも感じます)
音楽産業廃棄物 音楽産業廃棄物
高橋 かしこ (2005/06)
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そして、紙媒体資料集には、総ページ数やカラー記事に対して
一定の限界が設けられてるのが実情ではないでしょうか。
貴重盤が掲載されたモノクロのディスコグラフィを見るたびに。
カラーページでじっくり眺めたい、と唸ってました。


対してインターネットサイトは、それらの点からは解放されてます。
制作者の意志でサイトを閉鎖しない限り、
ネットに繋がればいつでも誰でも閲覧可能。
サイト容量は広大で等倍カラー画像もお手のまま。

他のテクノポップ・ニューウェイブバンドには
レイアウトも美しく読んでて楽しいデータベースサイトが
いくつもあったことも刺激となりました。
特に“MOONRIDERS WEB SERVER”(ムーンライダーズ)
“ぱちーの”“Howling WEB”(有頂天・ロンバケ)からは
様々なエキスを吸収いたしました。この場を借りて御礼申し上げます。


作り手が自ら内容を吟味して律しないと、
受け手が苦痛を覚えるような冗長なコンテンツを
作ってしまう、という欠点もサイトにはありますが
サムネイルを多数陳列して、任意の画像を選択後に
等倍画像が表示されるカタログ形式ならば
見易く便利だろう、と思案してレイアウトを模索しはじめました。

・無料サイトは運営が不安定になる可能性があるから
 サーバをレンタルして腰を据えて運営する。
・P-MODEL/平沢進に特化した内容にする。
・開設から10年は継続する。
・不確かな情報は省き、裏打ちの取れた資料を掲載する。
草案は徐々にまとまりつつありました。
いよいよ制作へと歩を進めます。
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設立前夜(1) [昔語り]

[平沢博物苑]がオープンする前にも、
P-MODEL/平沢進にはファン私設のデータベースサイトが
無数に存在し、大手と呼ばれたサイトもいくつかありました。
しかし、それらには利用者として残念に感じることがありました。

1.ジャケット画像の未掲載。存在してもサムネイル程度のサイズ。
2.制作者によるコメント解説文。主観によって書かれるため、
  対象の作品が好きか嫌いかによって内容の濃淡が激しい。
3.制作者の都合による更新ストップ、またはサイト閉鎖。


画像の有無で言えば、やはり有った方が見栄えがします。
それも出来る限り大きい画像で見たいのがファン心理。

余談ですが、凍結前の80年代P-MODELのジャケットは
当然の事ながら、アナログLPサイズを前提にデザインされてます。
どのアルバムも凝ったアートワークが施されてて美しい。
対して90年代に出た再発CDのそれは、そのまま縮小しただけで
細い線も点もつぶれたまま。「仕事」を感じません。
機会があれば皆さんも是非、LPを手にしてください。


制作者によるコメント解説云々については、くれぐれも誤解の無いように。
主観による解説自体が不満なのではありません。
そもそも解説って、主観客観を織り交ぜて書いてナンボだと思います。
不満なのは、「このアルバムは大好きだから思いの丈をいっぱい書く」
「こっちは好きじゃないから、さらっと紹介程度で」と言うような
作品毎の解説内容の偏りに不満を覚えてました。


3に関しては、自分自身も戒めなければならぬ事項のひとつです。
他人様に見られることを望んでサイト公開を始めたならば
「続けること」も重要であると思いますし、
被対象が更新されるならば、それに応じて更新も継続すべきです。

もちろん、サイトは制作者の物です。
その人のやんごとない事情によって、
閉じたり更新終了されたりするのも承知してます。
ですが、よく立ち寄ったファンサイトがなくなったり更新終了するのは、
一ファンとして残念な思いをしました。

「デジタルは忘れない。だけど、忘れる時はコマンド一発。」
友人の至言です。この言葉を肝に銘じて
[平沢博物苑]を続けてゆきます。


以上が、私設データベースサイトについて、
利用者として感じていた事柄です。
自分自身でデータベースを作るなら上記の点は解決したい…と、
ぼんやりと骨子を固めていた頃のお話しでした。

そして、視線の先にあったのがもうひとつ。
既存の紙媒体P-MODEL資料集でした。
ファンになりたての頃から、穴が空くほど読み込んだ数々の資料集。
それらとも方向性が明確に違う、
インターネットならではのデータベースが欲しい、と考えてました。
そちらについては、また次回。
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