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2023.12.09 P-H(EAR) discipline #4 レポート [四方山話]

P-H(EAR) discipline #4 P-MODEL 4th album『Perspective』
LP / CD / Hi-Res 聴き比べ&深掘りトーク
キミは違いがわかるか?

出演:中野泰博
   アキモトトシユキ
   高橋かしこ
   國崎晋

https://rittorbase.jp/event/978/

https://p-hear-04.peatix.com/



古くはコンセプトカフェGazioでのトークショーにルーツを持つ、80年代P-MODELの活動を生で浴びた語り部たちによるイヴェント。御茶ノ水RITTOR BASE(以下リットーベース)へ居を移してからは、

shop MECANO:中野店長
コロムビア時代担当ディレクター/元浦和ロックンロールセンタースタッフ:アキモトさん
書籍『音楽産業廃棄物』編集・執筆者/ミニコミ『音のみぞ』主宰:かしこさん
リットーベースディレクター/サンレコ元編集長:國崎さん

……の、それぞれの役割で平沢進との仕事を果たした登壇者が集合。ミニコミ『音のみぞ』読者限定オンライントーク配信を経て、リットーベースの音響環境を活かしたP-MODEL・平沢進の音源ソース聴き比べトークイヴェントへと発展しました。

回を追うごとに話題を呼んで盛況となり、4回目である今回は発売5分で完売のプラチナチケットと化したこのイヴェント。パースペクティヴだけは聴き逃がせぬ、と潜入しました。いざ。
(※メモ取り一切せずに記憶と後調べデータで記したので、記憶あやふやからのミスあります)


俎上に載せられたパースペクティヴの音源ソースは以下の通り。だったかな……。

LP ジャパンレコード 1982年(オリジナル)
LP VIVIDサウンド 1987年
CD 徳間ジャパンWAX 1989年
CD 徳間ジャパンWAX/徳間リマスタ 2015年
CD SSレコーディング/SSリマスタ 2021年
Hi-Res 徳間ジャパン/徳間リマスタ 現行

これらに加え、カセット限定発売リミックスPerspective2の各音源が

CT ジャパンレコード 1982年オリジナル(第二部『B面篇』ではVIVID再発1987年版を使用)
CD 徳間ジャパンWAX 1991年
CD SSレコーディング/SSリマスタ 2021年

主な構成は、Perspective収録全9曲を一曲ずつ、1982オリジナルLP/1989徳間CD/2015徳間CD/2021SSレコーディングCDからワンコーラス流し、締めにハイレゾ音源をフルコーラスかけて聴き比べ。一曲試聴ごとにパネリストの深掘りトーク。要所要所の語りどころでは別音源も取り上げてプレーヤーにかける趣向。


具体的に各音源がどのように違うのか、これを文字に起こすのは恐ろしく険しいですが、大まかな比較としては

80年代LP:高域低域のバランスが整い、楽器ボーカル各音の艶も良く、状態良い盤では遜色ない見事な音が入ってる
1989CD(パースペ2/1991CD):全体的に音量レベルが小さく高低域差も少ない、真ん中に集まった音
SSレコーディングCD:1st~3rdでは海苔波形と言われがちのマスタリングが続くも、本作に関しては低音の迫力が引き出されており好感触
ハイレゾ:穿った聴き方をしても明らかに別格。全体のサウンドバランス、各楽器の分離、ボーカルの質、音の空間表現、どれもこれも満足できて鱗が落ちる


いやーヤバいところでした。
リスナーになってから聴いてたのが、初期は1989年CD、後期になってから亞種音BOX音源なのを白状しときます(LPもコレクションしてますが再生プレーヤーがチープ価格帯のもので、それも既に処分)
なのでパースペクティヴは「キックの低音が出てこず真ん中に揃った音作りだなー」と、ずーっと思ってました。
顔面蒼白です。
ハイレゾ買います。参加特典でOTOTOYクーポンをもらったのは僥倖です。
あとはSSレコーディングCDは現行流通してるし、パースペクティヴ2の11曲も同時収録だから、今から買うならマストバイだとも感じました。良い時代ですね!


一つの曲をとっかえひっかえ聴いてから登壇者トークを楽しむだけで参加した甲斐があるのに、音源比較することでパーツの分離感・音域の幅などの勘所を、まさしく実感できました。良い音は良いし、聴き比べてこそ善し悪しの理解が深まりますね……ただひたすら勉強になります。


深掘りトークでは、本作独特のドラム残響音の収録手法からはじまり、
・80年代ニューウェイヴを席巻した音色の一つであるゲートエコーへの反抗
・それまでのギターリフ中心な作風から変貌した、ベースリフから構築展開したと思しき構成
・ベースリフとシンプルなパーツ構成ドラムの上に乗るKORG Polysixのシンセサウンドの特徴
・シンプルな構成だからこそ必要となるボーカルの声質、後年のソロで開花する作風の萌芽
・1982年重要ライブ「突拍子のためのLesson 1」「同 2」はどんな内容だったか
などなど、パッと思い出すことを挙げただけでも溢れかえり、どこを切っても話題が尽きない掛け合いトーク。次から次に押し寄せる知見を呑み込んで咀嚼するのは、学ぶことの楽しさそのものでした。良いよね良いよね。

個人的なガッテンポイント
・うわばみで打ち鳴らされるパーカッションの正体(シンセなんですね)
・カセットパースペ2のSOLID AIR イントロリズムボックス
・ミキサースイッチングで作るHEAVENイントロ
・本作ディレクターで現SSレコーディング芝省三氏の日本ニューウェイヴ史における立ち位置(メトロトロンだとは!)
・パースペクティヴの二色刷ポスターの話で、相似デザインの有頂天チラシに話題が及んだとき、かしこさんが客席最前列のたつろーさん(有頂天ケラ研究第一人者)にチラリと目配せした瞬間


第一部A面篇/第二部B面篇の合わせて4時間、長丁場でしたが飽きる瞬間が無い濃密なイヴェントでした。行って良かった!リットーベースの音響空間すごかった!ハイレゾ買います。


80年代の傑作アルバム一枚だけでもこんなにいつまでも語れる要素が満載のバンドなのに、テクノポップと真っ向から勝負し、AMIGAとインターネットに活動意義の重きが置かれた90年代P-MODELの振り返りが少ないのは、現状ちょっともったいない。その時代を語れる人間が集って語るのにも意義があるかも、とも胸に手を当てた一日でした。


12.11 追記
終演後に登壇者の方々とお話しする機会に恵まれました。
イヴェント中の内容では無いので詳しくは控えますが、本イヴェントで扱われなかったP-MODEL BOX 太陽系亞種音リマスタリングについても伺えて、自分の中で得心が行きました。



Perspective +11 tracks (UHQ-CD EDITION)

Perspective +11 tracks (UHQ-CD EDITION)

  • アーティスト: P-MODEL
  • 出版社/メーカー: SS RECORDINGS
  • 発売日: 2021/02/20
  • メディア: CD



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