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KRAFTWERK [3-D CONCERT] 18th MAY SAT. NAMBA HATCH [四方山話]

クラフトワークを心から愛する我々は幸せである  ~巻上公一(A TRIBUTE OF KRAFTWERKより)

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KRAFTWERK大阪なんばHatch公演に行きました。
私が彼らのコンサートを見るのはこれが二度目、
アルバム「TOUR DE FRANCE」発売記念ワールドツアーの名古屋公演以来です。
その時のワールドツアーの様子は公式ライブDVD・CD「Minimum-Maximum」
としてリリースされてますが、その後も彼らは精力的な活動を繰り広げていました。


2009年、初期メガヒット作「Autobahn」以後の
8枚のアルバムにデジタルリマスタリングを施して再発売、
同時にBOXセット「THE CATALOGUE(DER KATALOG)」を発表。
  ※その当時のショップメカノ中野泰博店長インタビュー記事
  http://musicshelf.jp/?html=series_d04/index&mode=static

Catalogue (2009 Digital Remaster)

Catalogue (2009 Digital Remaster)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMI Import
  • 発売日: 2012/04/17
  • メディア: CD

時期を前後して、ステージ映像が3Dバージョンへと仕様を改められて、
観客は専用メガネをかけて映像と音楽、パフォーマンスを楽しむ
「3-D CONCERT」に変貌を遂げたのです。


2012年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)のアトリウムで
カタログBOX収録のアルバムを8日間連続で
年代別に披露するライブパフォーマンスを展開。
その後、今年に入ってドイツ・デュッセルドルフの
ノルトライン・ヴェストファーレン美術館や
イギリス・ロンドンの近現代美術館テート・モダンにて
同様のパッケージコンサートツアーを敢行しました。
その間、2012年には脱原発イベント「NO NUKES 2012」参加で来日し
Radioactivityに日本語歌詞を乗せた新バージョンを演奏して話題となりましたが

このときは通常映像ライブ。そして今回、遂に3-D CONCERTが日本上陸しました。


一連の流れから美術館での開催が習わしと思ってたんですけど
(私は金沢21世紀美術館を想像してました)
フタを開けてみれば赤坂ブリッツとなんばハッチという、
まさかの完全なるスタンディングライブ仕様。
そして赤坂ブリッツにて8日間公演の実施が決定。飛ぶように売れるチケット。
開催日が近づくに連れて、高まる期待と盛り上がるTwitter。
知人やフォロアー達も1日2日の参加は当たり前で、半分出席がデフォルトのような、
全日程通いつめてこそマニアという風潮を感じるような、まるで高度な情報戦です。

どう考えてもそんなチケット代や旅費を捻出するのは、私には不可能。
アルバム再現8日間公演は一日でも参加すると後を引くから、
早々に大阪公演単独に狙いを定め、プロモーターであるUDOからチケット入手。
東京公演期間中に飛び交う感想情報を収集しながら枕を涙で濡らしつつ、
カタログ収録アルバムを連日、復習がてら聞き返して、
大阪公演日が訪れるのを指折り数えて過ごす日々。
そしていよいよ5月18日が訪れました。


幸運にも最前列かぶりつきが容易に狙えるチケットを入手しましたが、懸念が一つ。
ステージと映像が融合するタイプのライブは、スクリーン全体が一目で見渡せる中央後方が
比較的理想のポジションだと、いくつかの同様ライブを経験して感じた印象です。
特に今回は3Dメガネを使用したライブ。
前方で角度がついた場所で見ると3D映像のピントがうまく合わないかもしれない。
理想のパッケージを楽しむか、それともライブの興奮を味わうか、悩みどころです。

結局、現場の衝動に任せて最前列上手側を陣取りましたが、これが大正解。
一曲目のTHE ROBOTSで客席に向けて動き出し、
まるでこの手で触れられそうなロボットを目にした瞬間に、
3-D CONCERTを初めてリアルに体感しました。
そうか。こういうことか。


このネット社会、過去のステージ写真や映像が各所に上がってて既に目にしてましたが
右目用と左目用に偏光表示した映像をスクリーンに映した本物が、
あんなにくっきりと3D映像を結び出すなんて。
やや斜め方向からステージを見上げても、遜色なく飛び出してきます。
それでいて生のステージも邪魔にならないクリアな視界。
すげえ!
映像素材も3D用に新規に作られたものが目白押し。
それでいて過去のPVや作品コンセプトを残しつつ、
これまでのイメージを壊すことのない3D映像を実現。
2004年来日と同様、極限までにシンプルに仕上げられたステージ機材にも
七色に輝くLED照明が施されて(それらもシンプルに洗練されて)3D映像に華を添える。
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これらに加えて、数年前までは音盤のデジタルリマスタリングもしてたんでしょ?
こんな職人技の作業をしてたら、新作は望めないわ…。
脱帽です。

今回のステージを生で見た方は、その記憶が薄れる前に
「Minimum-Maximum」のDVDを見なおしてください。
Minimum Maximum [DVD] [Import]

Minimum Maximum [DVD] [Import]

  • 出版社/メーカー: 東芝EMI株式会社
  • メディア: DVD

アルバム「TOUR DE FRANCE」以後、
彼らが何を目標に活動してたのかがひと目で分かります。
それと同時にこの3-D CONCERTの公式DVDのリリースは無いとも確信しました。
こんなの、3Dテレビが当たり前になるまで、完全な形でパッケージできないよ。
うわ、もったいない。

MoMA以降、アルバム再現8日間公演を全世界でツアーしてたのは
いずれ発売されるDVDのための素材作りだと、ずっと思ってたんですが、
まるっきり逆だったんですね。
パッケージでリリースできないから自ら世界を回って披露してたのか。
21世紀の紙芝居屋さんだ。
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それぞれの年代を再現する東京公演とは違い、大阪はベスト選曲。
前評判が高いSPACELABやVITAMIN、COMPUTER LOVEが聞けたのは嬉しかった。
過去にMTVでライブ披露したAERODYNAMIKもまさか今日やるとは思わなかった。

大阪では初っ端のTHE ROBOTSから「We Are The ROBOTS!」と合唱が飛び出し、
興奮した観客も割れんばかりの拍手と大歓声、ヒートアップのノリノリ。
それを受けてか、ステージのパフォーマンスも
クールな仕草の中に好反応を見せていて
異形のコール&レスポンスが成り立ってました。


MUSIQUE NON STOPで一人ずつソロパーフォマンスを見せたあとに自動演奏に切り替え
別れの挨拶をして退場していき、最後にラルフが胸に手を当てて敬礼。
暗転したまま鳴り止まぬ拍手が続き、再びメンバー登場でさらなる大歓声。
ラルフは腕時計を指さして「寝る時間だよ」と言いたげなおやすみポーズで
茶目っ気を見せたあと、アンコールまで残してあった
取っておきのナンバーDENTAKUをいよいよ演奏。
聞いたことのないような会場全体の大合唱の中で演奏されて至福の絶頂。
そして数あるバージョンを織り込んだPLANET OF VISIONS(EXPO2000)の演奏で
大阪公演は全演目終了しました。
最後にメンバー全員が柔和な表情をみせながら上手側に整列して、深々と二度お辞儀。
それこそリアルに触れられる距離でのシーンに魂が抜かれる想いでした。


いいものを見た!KRAFTWERKは決して古典伝統芸能ではなくて今なお進化を続けてる!
また見たい!こんなにまた見たいと思ったライブはそうはない!
こんなパフォーマンスを見せたあと、彼らは何を具現化しようとするんだろう。
すごく興味があるし、そしてそれを目にしたい。
今回のライブを目の当たりにできたことに感謝して
ぜひ次回のライブがあることを心待ちに期待しつつ
KRAFTWERKのすべてに最敬礼します。


UDO公式サイトより転載
---------
2013年5月18日(土) なんばHatch

THE ROBOTS
METROPOLIS
NUMBERS
COMPUTER WORLD
HOME COMPUTER
COMPUTER LOVE
THE MAN MACHINE
SPACELAB
THE MODEL
NEON LIGHTS
AUTOBAHN
TOUR DE FRANCE 1983 + INTRO
TOUR DE FRANCE 2003
VITAMIN
RADIOACTIVITY
TRANS-EUROPE EXPRESS
AERODYNAMIK / TITANIUM
BOING BOOM TSCHAK
MUSIQUE NON STOP
- encore -
POCKET CALCULATOR
DENTAKU
PLANET OF VISIONS
---------

追記:
今回の物販で念願のKRAFTWERK 3-D BOOKを購入しました。
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http://www.amazon.de/dp/3000357963/
数年前に発売されたと知って以来、何度か個人輸入を試みたものの
うまくいかずに円高も終わり入手できなかった公式書籍です。

さっそく開封し、3Dメガネをかけて眺めたら驚きました。
昔からよくある赤青メガネなのに、
ステージで見た3D映像と同様のクオリティで飛び出して見えるのです。
もちろん、赤青メガネなので色合いはとっ散らかり気味ですが
それでも4色カラーは綺麗に見えて立体感はゴージャス。

恐らく、3-D CONCERTの手法を試行錯誤してるさなかに生み出された書籍でもあるし
同時に現状では映像パッケージの難しいパフォーマンスを
記録に残すための資料としての役割も果たしてると感じます。
同時に販売されていたロボット本も
1990年代以後に製造された過去のロボット達のアーカイブとなっていて
デジタルリマスタリング・BOXセット・各種書籍・3-D CONCERTの一連によって
過去のアーカイブは一区切りがついた印象を受けます。

さあ、この次はどんな魔術を見せてくれるか。
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