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核P−MODEL・ライブ「パラレル・コザック」雑感 論理と肉体 [四方山話]

核P-MODELの約9年ぶりのライブは、とてもロジカルかつフィジカルに
テクノポップを体現したものでした。

5年前、点呼する惑星インタラの感想で書いた
http://vistoron.blog.so-net.ne.jp/2009-04-26
 > そもそも核P-MODELも、平沢単独で動くという縛りなどないし、
 > 必要に応じては「2人体制の核P-MODEL」が実現する可能性も否定できない。
という一文が図らずも実現し、
ライブメンバーとしてPEVO1号が招聘された今回のライブ、パラレル・コザック。
象徴としてそびえる破壊された培養炉の他には、
マイクスタンドとアルミギターEVO、ギターシンセ周りの制御用と思われるノートPCに
最小限のモニタPAが用意されたぐらいの、シンプルなステージセットでした。
近年のソロライブに欠かせぬ存在のレーザーハープやテスラコイルなどは無し。
初日に二階席からステージ全容を眺めた時は呆気に取られたものです。

そしてステージングは見事なくらいに決め事だらけのパフォーマンスが最大の特徴でした。
ヒラサワとPEVO1号の微動だにせぬ歌唱・演奏シーンから、シンクロ行動するギター演奏。
そもそも立ち振舞からして、普段とは異なる肩幅立ち姿勢。それが二人とも同じようなスタンス。
リハーサルで決め事の打ち合わせをしてるときはさぞや爆笑の連続で、
楽しかったことだろうと裏読みしてしまうほどです。


かつての80年代テクノポップは、現代と比べれば
チープな機材とのセッションの中で課せられた制限を逆手に取って
機械的なシーケンスと肉体的なパフォーマンスを体現したものと聞き及んでおり、
それらは今にも伝わる当時の映像や音盤でそれらを垣間見ることができます。
時は流れて2010年代、機械と音楽の進化により今や枷なく
どのような楽曲スタイルもデスクトップ上のPCで実現できる時代だからこそ、
自ら制限の枠を課して決め事だらけにパフォーマンスを律することにより
80年代ニューウェイブのサンプリングを体現したのかと自問自答してしまいます。

また、決め事だらけで進行するライブゆえに
制限の枠を乱してひとりはっちゃける「毛糸帽の男」のキーボードプレイが
ひときわ目立つものになったという副効用もあったとも睨みます。


そんな小難しい解釈を抜きにして各日のライブ内容は単純にカッコイイものでした。
東京異次弦空洞を除けば約20年ぶりに採用されたマイクスタンドに、
同じくもう十数年は目にしてなかった、ギターを肩から提げ続けたギタリスト平沢。
80年代MIDIギターのリベンジかと思わせるほどに、進化したギターシンセを用いて
シンセサウンド・サンプリングの発音すべてをギターで奏でる演奏シーン。
朽ち果てた培養炉の上にまだ残る扇状のモニュメントの下で、
グラインダーで火花を飛ばすインダストリアルなワンシーン。
客入りの音楽からして明らかに80年代ニューウェイブから切り取った曲ばかりでしたし
追い出しはバチバチソニックの新譜というご愛嬌も。

特にリードギターとサイドギターでのライブアレンジが施されたGipnozaは
正しい意味でのツインギターのアンサンブルが(実質)P-MODELで聞ける日がくるなんて
まさか夢にも思わなかっただけに、これは衝撃的でした。
核P-MODELは平沢進ソロプロジェクトでは決してなく、
必要に応じて柔軟なメンバー構成をまかなえる
P-MODELプロジェクトだと、思いを新たにしたものです。
そのときのメンバー間の関係はフィジカルに数年間行動をともにする運命共同体ではなく
一回限りの招聘のロジカルなユニット的なものであるとも言えるでしょう。
そういう点で時代の変容に合わせた形に進化したP-MODELであると
後年言われるようになる予感も感じます。


太陽系亞種音から暴露されたアシュオン実験のストーリーは
今回のライブにて完結したわけではありませんし
PEVOとのコラボレーションを経て、まだまだ一悶着ありそうです。
核P-MODEL、次は9年も待たずに近い将来にまた見ることができそうな予感がします。
また同時にソロワークでの独自のストーリーも並行して走ってますし
90年代後半のようにソロワークと核P-MODELが隔年でドライブするやもしれません。

そしてタイミングとヒラサワの熱量次第で恒久的なメンバー選定を行う選択肢も
ないことではないことを願いつつ、近年のインタビューでは否定を繰り返し続ける
核が外れたP-MODELも再び見たい!と戯言を残してこの記事を結びます。

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