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単眼鏡と幻の魚の骨 [四方山話]

今回のインタラは二日目と最終日に参加して、座席はそれぞれ1階最後方と2階最後方でした。
うむ。渋谷公会堂のキャパを考えると、これはきっと肉眼ではかなり遠い。
こんなときに役立つのが、3年前のノンタラの際に購入したオペラグラス
(小型双眼鏡の方が正しいのかな)NIKON「遊 4X10D CF」。
Nikon 双眼鏡 遊 4X10D CF ワインレッド

Nikon 双眼鏡 遊 4X10D CF ワインレッド

  • 出版社/メーカー: ニコン
  • メディア: エレクトロニクス

※ 購入日記→ <PHONON2553:最後方からのオペラグラス>
 http://vistoron.blog.so-net.ne.jp/2010-03-02

その後も趣味の落語会観覧のときなどでも愛用してて、
すっかりカバンの中に馴染んでます。


しかし、不安な点がひとつ。
これを購入した時の会場は恵比寿リキッドルームで、定員がおよそ800~1000人。
普段行く落語会も300~500人ほどの会場で、一番大きい時が900人。
それに対して今回の渋谷公会堂はキャパ2000人です。

これまででちょうど平沢さんのステージも落語の方も
ちょうど良い塩梅で見えていたということは、
渋公の最後方ではきっと物足りないに違いない。
さすがに家人も今回のチケット席番を見た時に、
「私もそろそろひとつ買うか…」と呟く始末。


日頃より「双眼鏡より単眼鏡がきっと見やすい」という家人用なので今回は単眼鏡をセレクト。
我が家から最寄りの某家電量販店のオペラグラスコーナーで
遊 4X10D CF を基準に定めて、それよりも高倍率で明るく視野が広いものを、と
片っ端からあれこれ試すものの、条件を満たすものはやはり高い。
満足できたのは、前に探してたときから欲しかったNIKONモノキュラーの7倍か
Nikon モノキュラー HG 7×15D

Nikon モノキュラー HG 7×15D

  • 出版社/メーカー: ニコン
  • メディア: エレクトロニクス

カール・ツァイスの6倍単眼鏡でした。
CZ ルーペ単眼鏡 Mono 6x18T*

CZ ルーペ単眼鏡 Mono 6x18T*

  • 出版社/メーカー: カールツァイス
  • メディア: エレクトロニクス


価格がNIKONが約2万で、カール・ツァイスは3万オーバー。
これはさすがに手が出ない。やっぱ良い物は値が張るのか…。
でも中途半端なものを買うぐらいなら
前々から欲しかったNIKONを買おうかな、と考えあぐねながら
最後に手にした可愛い形の単眼鏡。これが大当たりでした。
オリンパスの Monocular I という昨年秋に出たばかりの新製品。
OLYMPUS ダハプリズム防水単眼鏡 ギャラリースコープ Monocular I 6×16

OLYMPUS ダハプリズム防水単眼鏡 ギャラリースコープ Monocular I 6×16

  • 出版社/メーカー: オリンパス
  • メディア: エレクトロニクス

倍率6倍で明るい視界で視野も広くて、何より値段が1万以下。
ダメ元で覗いてみたら思わず「あっ」と声が出るほどでした。
今日はコレがベストバイ!と、薦めて覗いてもらってそちらも納得で購入。


会場で実際に使ったあとで家人が「これイイ!」と熱く語った感想は

・ピント合わせの操作もスライド式で片手だけで操作できる
・片目を単眼鏡で拡大して見てる状態のまま、
 もう片方の目で会場全体の風景や文字情報の様子を伺うことが出来る。
・とにかく軽い
・ストラップホールもついてて気軽
・今までライブで見てたと思った視界よりももっと沢山のものを見通せた

など、とにかくベタ褒め。
私も少し借りて見ましたが、4倍の遊だとさすがにステージが小さく見えるのに
モノキュラーアイではちょうど平沢さんの全体像が見れる感じ。
断言します。渋公クラスで単眼鏡を選ぶなら
オリンパスのモノキュラーアイがベストチョイス。


同行の友人も奮発してNIKONのハイクラスコンパクト双眼鏡であるミクロンを
Nikon 双眼鏡 ミクロン 6×15 CF

Nikon 双眼鏡 ミクロン 6×15 CF

  • 出版社/メーカー: ニコン
  • メディア: エレクトロニクス

購入使用してましたが、やはりそれも素晴らしく良好な視界でした。
値段が張りますが双眼鏡ならばミクロン6倍ですね。

私もモノキュラーアイかミクロンが欲しくなってきた。

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最終日公演のストーリーで登場した「テレスコ」という幻の魚の骨。
すでにご存じの方もいるとおり、これには元ネタがあります。
その名もズバリ、古典落語の「てれすこ」という演目です。
どのような噺かは以下のリンクをご覧ください。

てれすこ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A6%E3%82%8C%E3%81%99%E3%81%93

先日他界した中村勘三郎の主演映画に「やじきた道中 てれすこ」という作品もありますね。
やじきた道中 てれすこ [DVD]

やじきた道中 てれすこ [DVD]

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • メディア: DVD


趣味でここ数年ほど、月に一~二度は落語会に通ってますが
実はまだ「てれすこ」が高座にかけられたのに巡り合わせたことがありません。
CDなどの音源を探すと、昭和の大名人である
三遊亭圓生や先代(三代目)三遊亭金馬のものはAmazonで見つかるんですが。
圓生百席(28)付き馬/テレスコ/遠山政談

圓生百席(28)付き馬/テレスコ/遠山政談

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニーレコード
  • 発売日: 1997/09/21
  • メディア: CD


三代目 三遊亭金馬 名演集 13 てれすこ/七の字/雑俳/艶笑小噺総まくり

三代目 三遊亭金馬 名演集 13 てれすこ/七の字/雑俳/艶笑小噺総まくり

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2006/04/19
  • メディア: CD


それに対して近年の落語家での音源はなかなか見つかりません。
どこかにないかなーと思って調べたら、Youtubeに三笑亭夢吉さんという
落語芸術協会の若手二ツ目さんの高座動画がありました。

三笑亭夢吉_てれすこ [上] HD
https://www.youtube.com/watch?v=fWwUCYDUQQE&hd=1

三笑亭夢吉_てれすこ [下] HD
https://www.youtube.com/watch?v=8HATGClm5CA&hd=1


他には、むかし家今松師匠の高座でご覧になったという証言をいただきました。
それを教えてくださったのは方々の演芸会で引っ張りダコの
アコーディオン民謡歌手である遠峰あこさんなんですが、
あこさんについては平沢さんに関わる不思議な縁がありまして、
それについてはまた後日、桜の咲く頃にお話できればと思います。
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Interactive Live Show 2013 「ノモノスとイミューム」雑感 [四方山話]

およそ三年半ぶりのインタラクティブライブ、堪能してきました。
楽しかった記憶が薄まる前にテキストへと落とし込みつつ
今回のインタラを振り返ろうと思います。


先に結論を出すと、「ノモノスとイミューム」は
私がインタラ開催前に考えていた当初の予想を、
ことごとく覆されるようなストーリーとシステム、パフォーマンスでした。
それもすべて良い意味で。

東日本大震災後の世相を暗喩するようなダークな筋書きを想像してましたが、
それらに対する平沢氏の結論と今後の展望は
2011年9月の「imago」寄稿文にて既に表明されていた通りでした。
ストーリーの内容に対する考察は、インタラ開始前後から
ライブ観覧者のみなさんがあらゆるところで深く掘り進めていて、
色々考えさせるものや納得するものを幾つも拝見しましたが、
その中でも@monikuraさんの
https://twitter.com/monikura/status/295949531273650177
> 今回のインタラは、3.11以降「冠毛種子の大群」という絶望に覆われている世界を
> 「笑い」で救済するということだったのかな。
という発言には、特に深く頷きました。


システム面も、初日を終えてのTwitter NO ROOMアカウントや平沢氏アカウントの発言、
それらを受けての「ひ組」(http://higumi.com/)インタラ考察特設ページでのマヒトさんが仰った
> 今回のインタラは今までとは違う趣向のように思えます。
> GOOD/BADという考え方ではなく、ノモノスとイミュームというストーリーを
> 「最後まで再生できるか」というゲームなのではないでしょうか。
上記の発言が端的に全容を表してるように見受けます。

全公演終了後までに明かされた内容から想像すると、
ストーリーはステージの進行に従って幾つも分岐をし、
本来の目的である「ノモノスを植物園に返す」点に於いて
それを実現できるエンディングがストーリー上での一なるハッピーエンドだが、
3つのエンディング自体はすべて等価である……ということでしょうか。
会期中に見れた結末はどれもヒラサワのユーモアにあふれた痛快なものでした。
今 敏監督の奥様である京子さんが初日終演後に発言されたツイートは胸に沁みました。
https://twitter.com/choukofu/status/294619047729967104


前回のインタラ感想をこのブログに書いた時に
http://vistoron.blog.so-net.ne.jp/2009-04-26
「ヒラサワの素材化」について私なりの解釈を記しましたが、
今回のライブではライブの半月前に「作者退場」が予告されました。
http://twilog.org/hirasawa/date-130108
これを読み、実際にどのように表現されるのか楽しみに見ましたが
いやはや、こちらも想像を上回るほど一貫性ある映像作品。
まるでサンプリングで別なる音楽を構築する手法に通じるものを感じました。
ネット上に無数ある平沢MAD作品から着想を得て
ユリイカ別冊初音ミク特集で語られた様々な問題点を
ヒラサワ流の返答でターンパスしたような趣きです。


情報投影スクリーンを通例であるステージ前方紗幕から後方へと移動した効用でしょうか、
今回は舞台美術も非常に凝っていて見どころたっぷりでした。
いまやヒラサワの代表的楽器であるレーザーハープも新造され
場内ところ狭しとレーザーが六方に飛び散る仕様になり、
視覚効果が非常に高い舞台美術の一環として成り立っていました。
いやああれは恐ろしくカッコ良かった。
あの会場全体を貫くレーザー効果は映像には決して収録しきれまい。
後々まで語り継げるようなパフォーマンスでした。

後々まで語り継げるといえば、メジャーレーベルから逸脱して十数年、
レコード会社の資本に頼らずに渋谷公会堂3デイズを満員にできる集客実力は
もはや化け物としか表現できません。
最終日公演にいたってはFC優先予約でも抽選となる勢い。
この先のライブはどのような会場で開かれるのでしょうか。
たまにはライブハウスで酸欠になりながら溺れ見るのも楽しそうです。
師弟的存在にして長年の盟友である折茂昌美さんとのコラボライブなんて
もっとしっかりと見たくて仕方ありませんし、
さらに強欲になれば二人を軸に据えて土台をしっかりと造成したユニットを叩き上げ
それに長らく封印する「あのバンド」の名を冠した姿を見てみたい。
妄想は尽きませんが。
いずれにせよ、今後の動向にも目が離せないことは間違いありません。


今となっては出典が定かではありませんが、
かつての平沢氏は「60になったらSF作家になりたい」との主旨の発言を
(真意は測りかねますが)割としていたように思い出します。
それを氏の理想の形で具現化したのが他ならぬインタラクティブライブだと
近年とみに感じるようになりました。
自分の作品世界観にバックストーリーを盛り込んで己の用意した劇伴付きで演じられ、
作り出した結末を幾つも用意できて提示でき、それらの選択は読者観客次第だなんて。
このようにトータルな作品をパッケージできる環境って、
文章単一での表現に縛られるSF作家よりもきっと
氏にとって魅力的なのではないかと想像します。そうあってほしいと願います。

----------
全公演終了後の翌日、平沢氏はTwitterを用いてメッセージを投じました。

https://twitter.com/hirasawa/status/295356517421555712
> 普段悲観的なrepの目立つ人たちに元気が見えます。
> 約二時間程度の間でしたが、皆様の中に住む100人の名医が働きやすいよう、
> 何らかのくびきが外れたのでしょうか。これは私にとって戦争なのです。

https://twitter.com/hirasawa/status/295359516474761218
https://twitter.com/hirasawa/status/295362911046623233
> 私の言うことがわからなくても問題ありません。
> 古いファンなら知っているでしょう、
> 私におしえられるものなどなく、皆さんが自分て到達するのを助けるんです。
> それがヒラサワの仕事です。覚えておいてください。

このメッセージを受けて「imago」を読み返すと、
今回の新譜~インタラクティブライブについて、また新たな発見があるかもしれません。

現代思想2011年9月臨時増刊号 総特集=緊急復刊 imago 東日本大震災と〈こころ〉のゆくえ

現代思想2011年9月臨時増刊号 総特集=緊急復刊 imago 東日本大震災と〈こころ〉のゆくえ

  • 作者: 中井 久夫
  • 出版社/メーカー: 青土社
  • 発売日: 2011/08/24
  • メディア: ムック


※本文中の引用句において、原文から改行変更したものがいくつかあります。
 あしからずご了承下さい。
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三十余年のアーカイヴ ~ HALDYN DOME 発売に寄せて [四方山話]

平沢進ソロ20世紀作品BOXセット「HALDYN DOME」。
正月に平沢氏自らがTwitterで発表してから、
2月中旬の正式告知、そして2/29の発売とあっという間の出来事でした。
申し込んだ皆さんの元にもそろそろ届いた頃でしょうか。
そこで今回は、このBOXセットに含まれているであろう意図を、誤解を恐れずに考察します。
ネタバレ前提の持論を展開しますのでご注意。
この先をお読みの方は「続きを読む」をクリックしてください。





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くたばれ、ムーンライダーズ [四方山話]

【ムーンライダーズ 無期限活動休止のお知らせ】
http://www.moonriders.net/notice/

日本最古のロックバンドは、マイペースそのままに
ずっとどこまでも往くんだと思ってた。

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私がこのバンドを知ったのは1993年のキーボードスペシャル、
P-MODELが表紙を飾った号の編集後記、
「有頂天なきいま、有頂天的な音を求めるとP-MODELとムーンライダーズを聞くしかない」
という一文がきっかけでした。
P-MODELも知ったばかりの頃で有頂天すらほとんど聞いてませんでしたが、
この一言がずっと忘れられずにいたものです。

その後しばらくして、件のキースペと同時期に出版された
ピコエンタテインメントの1号を参考に
ムーンライダーズのアルバムを何枚か手に入れて、
期待に胸をふくらませて再生しましたが、どうもピンと来ない。
P-MODELの平沢や有頂天のケラの奏でる世界、
それにYMOやプラスチックス、ヒカシューなどは初聴ですんなり楽しめるのに
ムーンライダーズはちょっと分かんない。と、首を傾げたものでした。
それでも「薔薇がなくちゃ生きていけない」というのは覚えました。

とはいえ、せっかく買ったものですので、折を見ては聞き返し、
それぞれのアルバムから気に入った曲をピックアップし、
その時々のマイベストカセットテープを作ったものです。
そんなこんなな出会いでしたが、
月日が経つと、徐々に沁み込むように興味を持って行きました。
30を過ぎたあたりからは事あるごとにフレーズを口ずさんでた気がします。


----------
「P-MODELとムーンライダーズの活動変遷には共時性がある」と言ったのは
私なんかよりも真摯にライダーズを愛する友人でした。
言われてみれば、同じような時期にテクノポップの洗礼を受け、
それを脱却した後は内省的な音楽を次々と生み出し、
80年代中盤には達観したかのようなポップな音を紡いだかと思えば、
終盤に差しかかった頃には闇に潜むように、それぞれ活動を止める。
90年代初頭には、電子音にまみれたハウスと
電子音そのもののテクノポップを築き上げて、
劇的にシーン復帰したのも、後追いからしてみれば共時性を感じますし、
「時代」を掴む力に長けたバンド達だったんだとも思います。
それぞれが独立したレーベルを抱えるようになった現在では、
渡り歩いたレコード会社の数でも張り合えるのもご愛嬌。


----------
十数年の間つかず離れずの距離感で聞いてましたが
ライブに行ったのはたった一度。
1998年、岐阜の産業祭りのようなイベントに
ムーンライダーズがゲストで招かれた(!)ときに
無料だからと見に行ったものです。
すごくかっこ良かった。

屋外のコンクリとタイルで囲われた広場のようなところが会場で、
最初に登場したのはリーダーの鈴木慶一。
背中を丸めてアコギを奏でながら歌い始めて
演奏中にドラム:かしぶち哲郎、ベース:鈴木博文、ギター:白井良明
キーボード:岡田徹、バイオリン&トランペット:武川雅寛…のメンバーたちが
順番に次々と入場してアンサンブルを重ね
「恋人が眠ったあとに唄う歌」を演奏した様子は
いま思い出しても鳥肌が立ちます。

開放的な屋外に合わせたかのようなアコースティック編成で
当時リリース直前だった「月面讃歌」からの曲が中心でしたが
「鬼火」「欲望」「物は壊れる、人は死ぬ 三つ数えて、眼をつぶれ」
「夢が見れる機械がほしい」「くれない埠頭」なども演奏した、
あまりにも濃厚な約一時間半フルセット。
98mr.jpg

時間はたっぷり有ったのに、
そのライブの次に見に行くライブが
無期限活動休止宣告ライブになるとは。
間に合ったと、ここはポジティブに考えます。


----------
平沢マニア的には1999年初頭のキーボードスペシャルに掲載された
鈴木慶一×平沢進対談には痺れました。
表敬訪問のような様相をした大人同士の対談。
その後のMP3配信の処女地開拓に於いても
P-MODELとムーンライダーズは先進的に立ち回ったものです。

21世紀に入り、P-MODELは長き眠りから未だ覚めず、
そしてムーンライダーズも眠りに就こうとする。
P-MODELのいない現在にはようやく慣れましたが、
ムーンライダーズのいないそれは、まだ実感が沸きません。
まずは、12月の大阪公演を眼に焼き付けて来ようと思います。
Damn! moonriders!

Ciao!

Ciao!

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: バウンディ
  • 発売日: 2011/12/14
  • メディア: CD



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中国アニメ音楽誌「平沢進」特集 [四方山話]

先日のブログ記事以来、海外通販づいており、
CDやら自転車パーツやらを輸入してる日々が続いてましたが、
ひとつ思い出したものがありました。
「中国のアニメ雑誌で平沢進特集が組まれてる」という一件です。
ネットサーフィンしてるときにそんな情報を入手したのは一年前でしたか。
現地の方から情報を入手したものの、当時は手に入れることができずじまい。

今回の海外通販マイブームによって、
この雑誌のことも思い出して一念発起。
だけど、検索ワードが掴めない。
これまでに持っていた情報は、該当の記事を撮影した写真と
当時やり取りした現地の方から頂戴した表紙画像だけ。
簡体字なので読めもしなければタイプすらできない。

だけど世の中は進歩しました。
Google画像検索のボックスに、手持ちの表紙画像を放り込んだら
「听动漫 第4期 2009.12」と一発で判明。
Googleさんステキ。

中国から日本へ国際通販できるサイトを調べてるときに
「淘宝網(タオバオ)」の存在を知りました。
そこに即決価格でいくつも出品されてるのを確認。
だいたい一冊15元(180円)前後、しかも在庫を何十冊と抱えてるみたい。
さらにタオバオ輸入代行業者がいくつも存在してて現地での交渉はおまかせ。
よし!これで買える!

…と思ってた頃の私は浅はかでした。
まったく中国をわかってません。
中国事情に詳しく現地語の使い手であるR氏に
(一年前に同誌を買おうとした時もお世話になりました)
「私の分も何冊か輸入してください」と交渉をお願いしてみるも、
実際に問い合わせると「実は一冊しかない」
「表示してる在庫数は最初に入荷した数だ」など、
それほんまけー?と首を傾げたくなるような返答ばかり。

業者をはさんでの交渉は大変だった様子ですが
R氏、なんとか輸入に成功しました。お疲れ様っ。
そしてようやく私のもとにも到着の運びとなりました。
acg.jpg
----------

せっかくなので内容レビュー。
听动漫は日本アニメ・ゲーム音楽誌です。
http://www.kandongman.net/bbs/forumdisplay.php?fid=99
2009年12月号はフルカラー全48ページ。
現在はボカロなども取り扱ってるようですが、
このときの特集は「青い花」「東京マグニチュード8.0」
「ベヨネッタ」「藍より青し」「戸松遥」、そして「平沢進」。
他の特集が2~4ページなのに比べて、堂々の8ページ平沢特集です。
表紙の一番下にも大フォントで「平泽进」と書かれてますね。

内容はアニメ・ゲームのベルセルク音楽を解説してる(多分)特集が2ページ。
それに続く形で平沢進個人特集が6ページ。
まずは「けいおん!」での苗字拝借から導入して
一連の「唯じゃない」発言の引用と解説。
続いてP-MODEL・ソロ活動の概要を紹介し、
最後にベルセルクと今敏作品での音楽解説(みたい)。
なかなか読み応えがありそうです。でも読めません。

で、特集記事ではジャケット写真もふんだんに使われてますが
汚れ具合からして、どう見てもうちのサイトからの流用。
あのですね。もっと綺麗なジャケ画像、世の中に転がってますよ。
(もっともうちもジャケ画像を堂々と無断掲載してるのでこの件は五十歩百歩)

それと付録CDとDVDがすごかったです。
あまりの内容なので詳細は伏せますが、
かの国の知的財産権に対する認識を垣間見た気がします。

コンテンツに関する知的財産権や著作権に対する云々は
私がなんやかんやと口を出せる立場でもありませんし、
ありのままの現実を受け止めるとして、
日本のアニメやアニメ音楽文化が
(著作権や知的財産権などが一足飛びになったままとしても)
国外で楽しまれてる様に触れたのはなかなか圧巻でした。
こういうの、日本にいるだけじゃなかなか実感できないですよね。
それらの一環として、私が長年心酔した平沢進が、
外国メディアでも特集されているのを見るのは、
ファンとしては、やはり単純に嬉しいです。

せっかくのインターネット社会、平沢ミュージックを必要としてる人は
まだまだ世界のどこかにたくさんいると思うので
どんなきっかけであっても結果、伝播していけば嬉しいと身勝手に想像します。
面白い経験でした。

英語で楽々オーダー!―海外ネット通販百科

英語で楽々オーダー!―海外ネット通販百科

  • 作者: 上野 陽子
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2003/07/02
  • メディア: 単行本



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Black in White ~ Global Trotters European issue [四方山話]

ClusterのHans-Joachim Roedeliusが中心となり、
小西健司と平沢進が参加して、1999年にアルバム「Drive」をリリースした
ネットワークミュージシャンプロジェクト「Global Trotters」。

Drive

Drive

  • アーティスト: Global Trotters
  • 出版社/メーカー: biosphere records
  • 発売日: 1999/03/25
  • メディア: CD


日本ではbiosphereレーベルから発売されましたが、
実はこのアルバム、ヨーロッパでもRYKODISCというところから発売されました。
日本盤が白地に黒のジャケットで、欧州盤は黒地に白と対照的。

Global Trotters Project V.1

Global Trotters Project V.1

  • アーティスト: Roedelius
  • 出版社/メーカー: Rykodisc
  • メディア: CD


(以下、日本盤=「白盤」欧州盤=「黒盤」と表記)
発売当時から「どうせなら黒盤も欲しいなー」と思ってましたが
この度のユーロ安に乗じて、念願かなってようやく入手できました。
そして再生してみてビックリ。白盤とは異なる内容だったのです。
白盤ライナーのメカ野氏解説や発売当時のインタビューで触れられてた
The ORBのAlex Patersonによるリミックスナンバーが、
黒盤の方には収録されてるとは聞いてましたが
他の曲にも手が加えられてました。

そこで今回は、白黒盤のライナーや
当時のインタビューをひもときつつ、私の想像を加えながら、
白と黒、それぞれのGlobal Trottersの違いをまとめます。


----------
白盤に収録されてるのは「Parallel Motives」「Tribal Engine」「Drive」と
Tribal Engineのリミックス「Tribal Engine "Neuromask Mix"」。
対して黒盤には「Parallel Motives」「Drive」「Tribal Engine」に
先ほど触れたAlex Patersonによる「Parallel Motives II」。

このうち白盤ライナーの解説にも下記のように記されてる通り、
> このアルバム(白盤)は基本的に小西/平沢サイドのミックスなのだが、
> 4曲目はボーナストラックとしてレデリウス側がミックスした「Drive」が収録されてる。

(※ここでの「Drive」は「Tribal Engine」の間違いかと思います)
白盤の「Tribal Engine "Neuromask Mix"」と黒盤の「Tribal Engine」は
音圧が若干違いますが、ほぼ同一曲でした。
しかし、それ以外の曲はタイトルが同じでもミックス内容が異なり
仕上がりの曲調もまったく違う表情を見せています。
それはなぜなのか。

再び白盤ライナー解説から引用します。
> 他の曲もこのCDに収録された以外の4者4様のミックスが存在しており、
> それぞれまったく表情が異なる。


この解説を証言するかのように、サウンド&レコーディングマガジン
1999年4月号のインタビューでも次のように語られてます。
> 平沢:ミックス・ダウンが終わったとき、レデリウスが
> マスタリングはアイルランドでしようって言ったんです。
> で、DATを送ったらマスタリングじゃなくてリミックスしやがった(笑)
>
> 小西:ボーナス・トラックとして収録した以外にも
> ジ・オーブのアレックス・パターソンがリミックスしたのもあったんですけど……。
>
> 平沢:それがとんでもないものだった。20分以上にも及ぶやつでCDに入らない(笑)
>
> 小西:レデリウスは“リリリミックスで面白いだろう”とか言ってた……
> リミックスのまたリミックスということらしいけど。
>
> 平沢:でも、レデリウスの奥さんはオリジナルが好きだって言ってたらしい(笑)


さらに、黒盤ライナーには以下の記述が。
> This European issue is the remixed version of the original material
> that came out in March 1999 via Biosphere Japan.



…つまり、白盤をオリジナル素材として
Roedelius側がリミックスした音源を収録したのが
ヨーロッパで発売された黒盤だったんですね。
それって普通、リミックスアルバムって言うんだと思います。

リミックスと言っても「舟」と「Corrective Errors」のように
まったく様相が異なるものではなく、
「Perspective」と「Perspective II」、
もしくは「賢者のプロペラ」CD版とMP3版よりも、
もうちょっと変化がついた感じでしょうか。


「Drive」発売から12年。
恥ずかしながら今の今までまったく知りませんでした。
素人想像はこの辺にして、Global Trottersについての詳しいお話は
本職にして造詣の深さでは右にでる者はいない
ショップメカノの中野店長に尋ねるのが早道かと思います。
ぜひ、次にお会いしたときには私も詳しくご教授願いたい所存です。

しかし、通販サイトの日本輸出対応の充実と昨今の円高により、
海外通販の敷居がグッと下がったのを、あらためて実感します。
Amazon.co.jpでの注文とほぼ同じフォーマットで
アメリカのAmazon.comやイギリスのAmazon.co.uk、
ドイツのAmazon.deなどから注文できますし、
通常便を選択すれば送料も数百円程度。
このごろは各国のAmazonや海外の通販サイトを眺めて
ため息をつくのが趣味になってきてます。
私は黒盤をAmazon.deで0.34ユーロで買いました。

黒盤は各国のAmazonのマーケットプレイスでも取り扱って
いくつかの業者は海外発送にも対応してる様子です。
(今回はドイツ在住の友人に購入代行していただきました)
他にも実は日本のAmazon.co.jpのマーケットプレイスにも
いくつか出品されてます。
業者にもよりますが最安値は800円以下。

さらに今年からはAmazonのMP3ストアでも取扱いが始まったようで
どれだけ敷居が下がれば気がすむんでしょうか。
こちらはアルバム単位の販売で1500円。
Global Trotters Hirasawa / Konishi / Bickley / Roedelius | 形式: MP3 ダウンロード
なお、MP3版は海外Amazonでも取り扱われてて、
そちらでは8.99ドルやら9.31ユーロやら7.49ポンドやら、
なんだか魅惑的な数字が並んでます。
こういうMP3とかって海外Amazonからでも買えるのかな。

思い出話で恐縮ですが、黒盤リリース当時、
Roedelius個人サイトの通販ページから買おうとして
「日本まで送っていただけるかしらん(意訳)」とお願いしたら
「ごめんよ、それはできないんだ(意訳)」と丁重にお断りされたのを思い出します。
こんなに海外通販が簡単になる時代が来るって、あの頃の自分に教えてやりたい。


うむ。見事にどうでもいい与太話になったので軌道修正。
平沢ソロやP-MODEL・旬などに比べて、あまり語られる機会のないGlobal Trottersですが、
「MP3ベースによる楽曲制作」という音楽産業廃棄物プロジェクトの試験運用的な側面があり、
平沢・小西視点では不幸のプロジェクトの発展形でもあり、
はたまたジャーマン・エレクトロ・ロックの巨匠と日本テクノニューウェイブの重鎮の共作という、
いま振り返っても重要な作品だと思います。
それが日本と欧州をまたにかける表裏一体のツインアルバムだったという事実。
この記事が「Drive」再評価のきっかけになれば嬉しいと願います。

あ。個体差はありましょうが黒盤は倉庫管理がいまいちっぽくて
(そりゃ二束三文で叩き売られてるわけだし)
経年劣化してるものもあるみたいです。ご注意。
私が入手したものは盤面はまったく問題ありませんでしたが
開封した瞬間にケースのCD固定爪がポロポロと割れ落ちました。
ケース買わなきゃ。

最後にRoedeliusのソロアルバムをご紹介。
メカノ店長にお薦めされて以来の愛聴盤です。入眠に最適。

Vol. 2-Selbstportrait

Vol. 2-Selbstportrait

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Bureau B
  • 発売日: 2010/12/28
  • メディア: CD


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20110623デンシコンツアー愛知ライブレポート [四方山話]

まさか名古屋でこんな組み合わせのライブを見られる日が来るなんて。

というわけで過日、東名阪デンシコンツアーが行なわれました。
私は今回、地元名古屋のライブにお邪魔したので
佳き日の記憶固定のために久しぶりにライブレポートなぞをまとめようと思います。
そんなの書くの何年ぶりだろ。
実は書いてから5年以上経っても未公開な、
シンセサイザーズ2daysレポなんてのも存在してるんですがw


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会場は池下CLUB UPSET。FLOPPYの名古屋での定箱ですね。
昨年2月のFLOPPY×Soyuz Projectライブもこちらでした。
後方はゆとりがあるのにステージも近く見れる、ちょうどいいスペースです。

定刻通りに開場も進み、良番に恵まれたのを活かして割と前の方に陣取り開演待ち。
フロッピーソユーズの時も感じましたが、客層は若いお嬢さん中心です。
ステージかぶりつきの前方はお嬢さんたちで占められてました。
そんなところのど真ん中にオッサンが混じってても、神からは許されるんだろか。


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ほぼ定刻に暗転。
単純かつ癒しを覚える音色とフレーズのミニマルシーケンスが響く中、中野テルヲ登場。
同時に黄色い歓声が飛び交います。
私がテルヲソロライブを見たのは1998~2002年にかけてがメインで、
実に9年ぶりの観覧でしたが、「当時とは客層がまるっと変化したな」
と実感したのはこの瞬間。新たなファンが着く活動は重要ですよね。
特に漏れるように聞こえた「かわいい」って声は斬新でした。


定位置につき、スクラッチノイズを出しつつ一曲目
「エクステンデッド湾~リターン小道」へと繋げて、ライブスタート。
機材については中野テルヲ配信局の、こちらの写真が分かりやすいと思います。
http://twitpic.com/5eb1rl

手元に置かれた機材は、写真では見切れてるのも含めて左から、
超音波センサー“UTS-6”×2・短波ラジオ“Skysensor ICF-5900”・
スクラッチプレイヤー“DN-S1200(?)”・MacBook PowerBook×2。
後方のラックにはキーボードマガジンでも紹介されてた
ミキサーDMP11もあったと思います。
それとMacBook PowerBookの裏に、フロア側に向けて電球ソケットが4つ。

ツアーバージョンとしての、簡略化された機材仕様ではあると思いますが
過去のUTSフルラインナップライブを見てきた者としては
非常にコンパクトにまとまった機材群だと感じました。
しかし、それらに合わせたパフォーマンスは実に華麗かつ見事です。
ワンマンライブではコロラドやアリゾナ(UTS-8)も健在なんでしたっけ。


パフォーマンスといえば、今回のステージでは
スクラッチプレイヤーやスカイセンサーなどを操作する前に
あらかじめ「今からコレを使います」と
ユーモラスに指差しジェスチャーしてたのが印象的でした。
おかげでどの機材からどんな音が出てたのか、非常に理解しやすかったですw

スクラッチプレイヤーには曲ごとに4~8小節のフレーズが展開されていて、
それを回したりスクラッチすることにより、
フリー要素の強いリフや、スクラッチ特有のフレーズ演奏を実現。
そしてUTS-6をトリガーにしてシーケンススタート。
シーケンスの途中でもスクラッチプレイヤーやスカイセンサーの音を拾い、
普段のシーケンスの中へ偶発性の高い一味違う音を導入させてます。
そしてある程度フリーな演奏をしたら、
それらの機材の出力音をシーケンスやUTS-6のトリガーでミュートさせて
本筋のシーケンスへと復帰。
UTS-6を駆使して1音1音刻むように手かざしで発音する、
テルヲの代名詞でもある手かざし奏法も披露してました。

このようなライブサウンドのシステム構築は中野テルヲの独壇場だと思います。
まさに誰にも真似できない。
よくぞツアー仕様のコンパクトライブシステムで実現させたと感嘆。
これならば全国どこのハコでも中野テルヲライブが実現できるのでは。
勝手に期待で胸膨らませてワクワクします。


セットリストは以下のとおり。
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エクステンデッド湾~リターン小道
My Demolition Work
現象界パレット
Raindrops Keep Fallin' On My Desktop
ファインダー
Long Distance, Long Time
Let's Go Skysensor
デッドエンド羅針
Eardrum
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最新譜「Signal/Noise」を中心に、コンピ「電子音楽部」提供曲や
いまやテルヲの代表曲であるレッツゴースカイセンサーを演奏しました。

レッツゴースカイセンサーでは曲名どおり、
スカイセンサーをふんだんにフィーチャーして
曲中にて名古屋のFM局を大胆にサンプリング。
NHK-FMのベストオブクラシック(ちょうどアナウンサーの作品解説部分)や、
ZIP-FMの名物DJであるジェイムス・ヘイブンスのMCが受信されたときは
思わず笑ってしまいました。お見事。

ラス曲のEardrumでは観客に手拍子を要求。
コール&レスポンスは純真に燃えますね。
私の周りにいた方々は、すでに近年のテルヲライブを経験済みの方が
多かったらしく、見事に乱れぬ手拍子でした。

このまま中野は引退してしまうのではなかろうかと半ば諦めた2000年代。
そしてシーンに復帰してから、これで約二年。
すでに多数の固定ファンも獲得されていて、
精力的な創作活動と広報により新規リスナーはなおも増える勢いです。
かつてライブのたびに東京へと追っかけた地方ファンとしては、
今回のツアーはとても嬉しかったです。

なかなか気軽に東京へと追っかけられなくなりましたが、
時々はまた地方へも来てください。心よりお待ちしてます。


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舞台転換時にそんな感傷を感じつつ、お次はNESS。
三浦と戸田のユニットというだけで単純に興味津々だというのに
迎えたリズム隊が筋少組の内田+河塚という強力布陣。
こりゃあすごい!良いもの見れる!と、感傷はどこ吹く風で期待満々です。

暗転して高速モールス信号風のノイズが鳴る中、まずは三浦登場。
設置されたテノリオンを操り、可憐なシーケンスを作り始めます。
次はパイロットヘルムに顔を隠した戸田が登場。
中野に勝るとも劣らぬ怪しげな機材群を駆使して電子ノイズを生成。
その頃には三浦もギターを提げて演奏開始。
しばらくしてから「電子音楽部」収録の「CETI」のシーケンスが流れて
内田+河塚が登場して勢揃い。
メランコリックな楽曲が一気に骨太ロックへと変貌しました。
衣装は全員、黒のツナギです。

その後はインスト中心の曲を次々と披露。
といってもインプロ要素はほとんど感じず、
決め事が多くて腹にストンと落ちる納得行く楽曲でした。
サウンド単体はロックにシフトしてるけど
こういう点はニューウェイブな要素だと思います。
なによりテクニシャン揃いだから、聞いてて単純に気持ちいい。

会場販売のDEMOを後で聞きましたが、
これだけ聞くとけっこうニューウェイブな構成なんですよね。
意図してライブではロックに針を振ってるんだと思いますが、
とても戦略的なイメージを受けました。
このバンドは恒常的に活動してほしいなあ。


MCの方は相変わらず安定の三浦節。
それに旧知の内田との絡みも加わりエンターテインメント倍増。
かつてはデスコやヤング100V時代に三浦MCを堪能しましたが
これだけで木戸銭を払う価値があると思ってるのは
私だけじゃない、と信じたいです。

三浦出演ライブはシンセサイザーズや各バンドのサポートでも見られますが
三浦主催バンドも、もっと見たいです。
氏の書く曲と詞はなんといってもリリカルで切ないので
それらの曲たちをもっと聞きたい。漫談MCも聞きたい。

1時間で5曲+MCという構成でNESS終了。かっこよかった!
お忙しいメンバー揃いなので、なかなか活動も大変でしょうが、
この先の展開も期待します。ぜひ電子音楽部からのコンスタントなリリースを。


アンコールは無くて終了時刻は21時半ぐらい。
手すりもなく立ちっぱなしのリズム踏みっぱなしで
終わったときにはヘトヘトでした。
でもこんな心地いい疲労感は久しぶりで気持ちいい。
また楽しみにしてます。
DENON CD/USB メディアプレーヤー&コントローラー DN-S1200

DENON CD/USB メディアプレーヤー&コントローラー DN-S1200

  • 出版社/メーカー: デノン
  • メディア: エレクトロニクス



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博物苑流【電子音楽・ニューウェイブガイドブック】ガイド [四方山話]

昨年末の「P-MODEL・平沢進アイテム リリースラッシュ」と
正月の「P-MODEL MEMBERS RARE DISCS」が思いのほか好評だったようで、
誠にありがとうございます。

そこで、柳の下のどじょう的な記事をもうひとつ。
我が家の音楽書籍資料からP-MODEL/平沢進に関するもので
現在でも入手しやすかったり、Amazonで取扱いがあるものを解説紹介します。
P-MODEL/平沢進専門書籍ばかりではありませんが、
どれもテクノポップ・ニューウェイブの歴史を俯瞰できる資料かと思います。
皆様の平沢研究の一助になれば幸いです。


【改訂DIGITAL復刻版 音楽産業廃棄物】
20101018213608155e8b88a57ddd2a.jpg
http://shop.fascination.co.jp/index.php?main_page=product_info&products_id=26
説明不要のP-MODEL/平沢進資料集。
初版は1999年と、10年以上前の刊行ですが、
昨年にデジタルPDFとして復刻されて、入手しやすくなりました。

1979~1999年までのディスコグラフィ・ライブ記録・年表などの基礎データはもとより、
(補項・同梱のhtmlデータにて2010年まで補完)
平沢の半生を辿るロングインタビューとP-MODEL全メンバーへのインタビュー、
平沢が某誌に連載したエッセイ「見るなの部屋」の復刻掲載は読み応え満点。

なお、今回の復刻はパッケージ版とダウンロード版の二形態があり、
このうちパッケージ版は残数僅少。パッケージを押さえたい方はお早めに。
さらにβ版的おまけ扱いですが、低スペックPCやスマートフォンを
想定した軽量版PDFまで同梱されてます。
こちらにiPhoneへのインストール方法をまとめてますのでご参考ください。
http://vistoron.blog.so-net.ne.jp/2010-10-18


余談ですが、先のライブ当日にショップメカノへお邪魔した際、
デジタル音廃本のサンプルとして改訂復刻版書籍がカウンターに置かれてまして、
それを目にしたお客さんが「これは売り物ですか?」と店長に尋ねる姿を
次々と目撃しました。やはり書籍は人気ですねえ…。


【電子音楽 in JAPAN】

電子音楽in JAPAN

電子音楽in JAPAN

  • 作者: 田中 雄二
  • 出版社/メーカー: アスペクト
  • 発売日: 2001/12
  • メディア: 単行本

日本の電子音楽がNHK電子音楽スタジオで萌芽した1955年から
テレビやラジオから当たり前のようにエレクトロロックが流れるようになった1990年代までの歴史を、
関係者へのインタビューと資料によって圧倒的なボリュームでまとめあげた書籍。
初版は1998年ですが、3年後に加筆修正された増補版が出ました。

電子音楽との出会いからマンドレイク~凍結前P-MODEL、
デジタルリバーブやMIDIまでを語る平沢インタビューが
13ページ掲載されてますが、それが埋没する勢いの怒涛の資料集です。
(初版では22ページですがフォントサイズ見直し等のための
 減ページによるもので掲載内容は変わってません)
他に平沢に関する話題はバッハ・リヴォリューションの田崎和隆や
プラスチックス・ヒカシューインタビューでも語られてます。

付録CDにはP-MODEL「美術館であった人だろ」の他、
平沢がインタビューで『電子音楽との最初の出会いだった』と語る
黛敏郎「東京オリンピック開会式」も収録。

テクノ御三家として世に売りだされたP-MODELを語る上で
避けては通れない日本20世紀電子音楽史。
それらをひもとくのに欠かせない一冊です。


【テクノ・ポップ (THE DIG PRESENTS DISC GUIDE SERIES)】

テクノ・ポップ (THE DIG PRESENTS DISC GUIDE SERIES)

テクノ・ポップ (THE DIG PRESENTS DISC GUIDE SERIES)

  • 作者: 美馬 亜貴子
  • 出版社/メーカー: シンコーミュージック
  • 発売日: 2004/02/01
  • メディア: 単行本

日本・ドイツ・アメリカ・イギリス各国のテクノポップ名盤紹介ガイド。
DEVO×POLYSICS対談や、KRAFTWERKラルフ・ヒュッターへのインタビューも併載。
P-MODELについては中野泰博メカノ店長の筆によって
1st~解凍アルバムまでの全てと旬4が解説されてます。
P-MODEL・平沢進からテクノポップ・ニューウェイブ音楽に興味を持った人達へ、
次なる一歩の道しるべとなる最良のガイドブック。


【ジャーマン・エレクトロ・リミックス】

ジャーマン・エレクトロ・リミックス

ジャーマン・エレクトロ・リミックス

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: マーキーインコーポレイティド
  • 発売日: 1997/08
  • メディア: 単行本

上記のテクノ・ポップ・ガイドがP-MODELや平沢からの次の一歩ならば
本書はそこからさらに突き進んだ人向けのガイドです。
1970~1990年代のジャーマンエレクトロミュージックのガイドブック。
監修者はご存知、中野泰博メカノ店長。

インタビューも超豪華。
ASH RA TEMPELやE2-E4で知られるマニュエル・ゲッチングに
元KRAFTWERKのウルフガング・フラーとカール・バルトス、
NEU!のクラウス・ディンガーにCANのダモ鈴木とホルガー・シューカイ、
Clusterのハンス・ヨアヒム・レデリウス(後にグローバルトロッターズ)と
D・メビウス、そしてコンラッド・シュニッツラーにFaust……。

テクノポップガイドとジャーマンエレクトロリミックスの2冊をあわせて読めば、
ショップメカノの向かって右側、洋楽コーナーが俄然気になること請け合い。
入店したらカウンター左脇の平沢コーナーへと向かってしまう方々へ、
是非ともお薦めしたい書籍です。


【日本ロック大百科1955-1990[年表編]】

日本ロック大百科〈年表編(1955~1990)〉 (宝島コレクション)

日本ロック大百科〈年表編(1955~1990)〉 (宝島コレクション)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: JICC出版局
  • 発売日: 1992/04
  • メディア: ハードカバー

上記の資料たちはテクノポップ・電子音楽寄りでしたが、
こちらで紹介するのは日本ロックからみた歴史資料集。
なんとロカビリーの1955年からバンドブームの1990年までの
日本ロックバンドの主だったライブ記録やレコード発売記録を詳細に網羅。
(奇しくも電子音楽 in JAPANと同時期ですな)

平沢関連ですとマンドレイクから1979年3月16日のP-MODELデビューライブや
1980年4月7日の中野サンプラザ事件、
1988年末の凍結にソロデビューアルバム発売などなど掲載。
まさに日本のロックを俯瞰した歴史年表です。

それにしても中古とは言え、1992年発行の書籍が入手可能だなんて。
Amazonすごい。


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いかがでしたか?
今回紹介した書籍たちは、自らを「馬の骨」と称する近年の平沢リスナー達には、
まだあまり馴染みのないジャンルの資料だと思います。
しかし平沢進の創る音楽は、当たり前ですが
突然変異的に突如生まれたものではなく、
連綿なるロックや電子音楽の文化から派生したものです。
そしてそれらを土壌に平沢はオリジナリティ溢れる作品を紡ぎ出してます。

電子音楽や日本ロックの視点からの音楽に触れたり、資料をひもとけば
平沢ミュージックに関してもまた新たな発見が得られるかもしれません。
そして今はショップメカノという、とても素敵で便利な専門店もあります。
せっかく突っ込んだ足ですので、
そこからどこまでも広がる無数の魅力的な音楽にも触れてみてください。
きっとまだ聴いたことのないお気に入りの音楽があるはずです。
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声は弦をも断ち切る [四方山話]

平沢 進ライブ「東京異次弦空洞」、二日間とも会場にて楽しんでまいりました。


言及すべき点は数ありますが、なんといってもライブ本編最終曲「トビラ島」での大サビ、
スタンドマイクと生身の声、Neng伝統舞踊だけで勝負する姿は反則ですよ、平沢さん。

ストリングスアレンジやピアノにギター、ライブにおける架空の弦(レーザーハープ)など
数々の弦楽器を駆使した『還弦主義8760時間』は、最後の最後でそれら全てを取り去り、
そこにあるのは生身の平沢だけだというシーンを演出するために、
逆算して発生したプロジェクトだった、と言わんばかり。

数々のギミック溢れる電子楽器、楽曲構成やメロディに歌詞の世界観、
果ては人柄に到るまで、氏について語られる魅力は千差万別ですが、
やはり平沢 進の最大の魅力は「歌声」である、と実感したシーンでした。


多忙は存分に承知してますが
どうぞこれからも定期的にライブを敢行してください。
追っかけます。




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RICOH デジタルカメラ GXR P10 28-300mm F3.5-5.6VC KIT GXR+P10KIT

RICOH デジタルカメラ GXR P10 28-300mm F3.5-5.6VC KIT GXR+P10KIT

  • 出版社/メーカー: リコー
  • メディア: エレクトロニクス


今となってはどうでもいい話なんですが、
次々と舞台転換するステージを見て、このカメラを連想してたのは内緒です。
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P-MODEL・平沢進アイテム リリースラッシュ [四方山話]

この秋から年明けにかけて、P-MODEL・平沢進関連の音盤がリリースラッシュな状態です。
そこで備忘録を兼ねて、気になるアイテムを独断と偏見でご紹介。


11/24
V.A.「電子音楽部」
電子音楽部

電子音楽部

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: インディーズ・メーカー
  • 発売日: 2010/11/24
  • メディア: CD

ビートサーファーズ所属アーティストである
小林写楽、戸田宏武、中野テルヲ、福間創、三浦俊一が
それぞれ楽曲提供したコンピレーションアルバム。
P-MANIAにとってはどこからどう見ても豪華ですよね、この顔触れ。

個人的には三浦氏が「電子音楽」と銘打った楽曲に触れるのは初めてですので
(スペセンの音は「手段」としての電子音楽であって、「目的」じゃないよね?)
とても興味津々です。まだ買えてません。
もちろん「デンシコン」にも行けません。チケット取れた方は楽しんできてください。

12/8
ケラ&ザ・シンセサイザーズ「Body and Song」
Body and Song

Body and Song

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: バウンディ
  • 発売日: 2010/12/08
  • メディア: CD

KERA、三浦俊一、福間創、RIU、Reikoという布陣になってからの初アルバム。
前作「15 ELEPHANTS」や「ナイト・サーフ」が好きな私としては、
福間加入という刺激要素が、このバンドにどのような影響を与えたのか楽しみです。
そういえば、シンセも結成から15年経ったんですね。
こんなに長く続くなんて想像してませんでした。

12/18
高橋芳一「Trace back data」
http://blogs.yahoo.co.jp/adoopt_s/62102543.html
近年は中野テルヲ操る電子楽器群「UTS」の製作者として名高い
元P-MODEL高橋氏の、これが初めてとなるアルバム。

1999年ON AIR WEST 中野テルヲソロライブのオープニングアクトとして
出演したときの高橋芳一QY70ソロライブを目にしたものとして
今回のリリースは十年越しの希望がかなった気分です。
録音物を聞いただけですが、P-MODEL在籍時最終ライブ
「グレーテルの一撃?」で披露された高橋ソロコーナーも凄かった。
これは是非とも欲しい。

12/24
ヤプーズ「ヤプーズ・デ・ラ・クルスの犯罪的人生」

待望のDVD化!
今回紹介したアイテムで、平沢ファンから「どれがオススメ?」と尋ねられたら
ノータイムでこれを薦めます。ぜったい後悔させない。
(P-MANIAからの同質問なら電子音楽部と高橋ソロをプッシュ)

ギタリストに徹した平沢氏がほぼ全編に渡ってタルボを弾きまくる。
P-MODELデビューから30余年の活動で、こんなにギターを弾いてる映像は
他に「反射の集いは氷の9」しか知りません。
しかもこっちではバンドメンバーとしてアグレッシブに格闘してる。
ヤプーズライブとしても脂が乗ってる時期の映像なのでオススメ。
そして「HYS NOISE」も同時発売。まさか再び世に出るなんて思わなかった!

2011/1/12
サントラ「組曲Xボンバー」
組曲Xボンバー

組曲Xボンバー

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: バウンディ
  • 発売日: 2011/01/12
  • メディア: CD

ついにこれがCDになるなんて!
数年前にLPを買ましたが、いまだに聞けてないのに。
「ラミアとシロー」「謎の宇宙船」の2曲を1980年の平沢氏が
楽曲提供してますが、完全にお仕事レベルという話ですので、
これはコアな平沢マニアを目指すコレクター向けのアイテムですね。
個人的にはバッハ・リヴォリューションのCD化と同じぐらいの衝撃でした。


こんなところでしょうか。
全部欲しくて仕方ありませんが、お金と相談しながら揃えたいと思います。
ほら、ライブも近いし。
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